いつの間にか一ヵ月が過ぎた。
五臓六腑の二臓を患い、三蔵法師ならぬ三蔵胞子のように
漂っていた。
この間若林和美さんの纏祝堂藍染め個展のテンポラリー通信も打
ち込めず、優れた会場構成力については時改めて触れる積もりだ。
今月11日よりベルリンから帰国の谷口顕一郎・彩子展が
始まった。
2005年夏稚内からサハリンを経て、シベリア大陸を横断し
ベルリンに滞在。その後欧州各国で表現活動を続けて16年。
風の土ではないが、故里札幌で久しぶりの個展のテーマは、明治
初期に北大農学校で治水工学を学び川の蛇行を基準とした
自然工法の学者岡崎文吉の茨戸に遺る単床ブロックをトレースし
立体化した彫刻作品である。
そして同時に2005年ともに旅立った奥さんの彩子さんの著に
よるシベリア大陸横断日記とその後の今日に至るヨーロッパでn
活動記録を一冊にした本の出版記念展でもある。
このふたつの出来事は、正に風が土という根を得たケン&アヤの
大輪の花と私は感じている。
土という根を保たない、新旧・速遅を至上の価値観とする現代の
風文明。
その風潮に対峙するケンとアヤの風の根の花だ。
あらゆる分野でショートカット全盛の現代において、ふたりが
体現し表現した行為の記録・表現は、ふたりの故里という土に
今咲いている・・・と私は感じる。
ありがとう、ケン&アヤ・・・さん。
*「顕(ケン)&彩(アヤ」展ー12月19日〈日)まで。
テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き