ぶ美術家のほぼ全記録といえる作品集である。
しかしその装丁・造本はあくまで手に優しくほっとするような
大きさ・装本である。
彼はここ数年北海道の木彫り熊の蒐集・記録に集中していた。
機械彫りやお土産物としてのテーマの均一化により、本来彫刻
として独自性の有した木彫り熊が、生活様式の変化もあり、途
絶える寸前まであったのを美術家である山里稔さんは、本来の
自分の仕事を傍らにして、明治初期以降の手彫りの熊を集め撮影
し、ついに一冊の本として2004年11月札幌かりん舎より出
版された。
その間滞っていた本来の自身の仕事を一気にまとめ、集大成した
のが「山里稔の制作思考」である。
両の掌に少し溢れる程の大きさが、和紙のような手触りの頁(ペ
ージ)の柔らかさ・厚さと程よく納まり背表紙を自ら糸で編んだ
冊子は書物としての品格と深い愛情を感じさせるのだ。
大袈裟でなく淡々と、しかし自らの全仕事への愛と誇りを保って
誠に稀有な全作品の集大成になったと思う。
絵画から造形・オブジェに至る作品変遷が、さり気ない、しかし
して 大きな激動の時代を生き抜いてきた戦後日本の鮮やかで艶
やかな個の記録として心に残る一冊だと思う。
*「追伸ー15回目の夏・ムラギシ」展ー10月4日まで。
*「花人・はなや」展ー10月8,9,10日
*紺屋 纏祝堂「上空ノ水面」展ー10月27日ー11月1日
テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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