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2006年 08月 26日
佐佐木方斎展も残り少なくなってきた。お盆の村岸ショックで追悼の人絶えず 私の心の整理も伴なって佐佐木方斎展に集中が出来ない面も多々ある。毎日 誰かが訪れる。みんな何かを語りたくて来る。一昨日の伊藤隆介さん、昨日の 田村陽子さん、山内慶さんそれぞれに重い想いがあるのだった。死が純粋化 する情念に生がいつまでも引きずられてはいけない。死が純粋化する想念に 生が従属してはならない。易々と死に明渡すのは生の過度の感傷、逃避なのだ。 佐佐木さん編集の「美術ノート」全10巻を読む。’84年9月から’86年8月迄 ほぼ二ヶ月に一冊づつ出版された平均7,80頁のこの雑誌は美術に於ける 北海道的地域の越境。表現の最前線の視点から特定な分野の越境。発表する 場の枠の越境。とこの時代の溢れるエネルギーの貴重な証言、記録となって 収録されている。北海道現代作家展を軸とした九州、韓国の作家との交流、銀 河画報社、駅裏8号倉庫を中心とした映像、演劇、舞踏、音楽等との交流、さら に初の大規模な野外展となる「第1回豊平河畔野外展」の試み。そして道外の 群馬渋川野外美術展の情報静岡アートスペースの情報、ニユーヨークソーホ ーの情報と表現の場の地域の枠を越えた貪欲なまでの探求が記されている。 特に初の野外展となった豊平河畔の活き活きとした座談会の佐佐木さんの発 言が何よりもその時代を象徴して輝いている。<どこまでもオープンにしたい という願望がある。それと今回新しい試みとして田中眠の舞踏をオープニング・ パフオーマンスとして組み込んでみて、やはり、圧倒的に楽しいわけですよ。 だから、音楽であるとか演劇であるとか、工藝なども含めてどんどん多次元的な 空間にした方がいい。><-場の処女性というような、何か約束されていない所 に関っていきたいという願望があって、それは自分のなかで知らず知らずのうちに 」定化していく美術概念みたいなものを突きくずす、解体させていこうとした時、未 開の手ごわい場でこそ、それができるんじゃないかと。><(多くの人とやるという のは)非常に複雑で分りにくい状況がでてくる。それをあえてやるというのは、一つ の場を共有しあうことで生じる一種の雑種的トータリテイの構造を探る為でもある と>これらの発言に集約される佐佐木さんの熱い輝きは今もそのコンテンポラリ ーな冴えを失ってはいないと私は感じる。河川の使用に際し役所の人たちと交渉 する佐佐木さんの活き活きとした語りも1個人として快いものだ。取巻く現実が新 鮮な<生>として河畔に転がる石ひとつにもある感動をもって語られる。そんな突 き抜けた充実した時間がこの座談会の発言に集約されこの時代の佐佐木方斎が いる。その四年後私は見えない川暗渠の界川を舞台に野外展を企画するのだが そこに<都市>というキーワードの自覚と言う一点で佐佐木さんの河畔とは相違 した気もする。従って’90年代に佐佐木さんと会うことはなかったのだ。2006年 の今日、急死した一人の若い青年の個展が図らずも佐佐木さんの語った<多元 的な空間>を都市と自然を川を媒介に音楽と装置でビジュアルに表現していた。 そしてその死に多くの人たちが自分のことのように社会的死として捉えようとしてい る。多くの人間に追悼され一個人の死のように語られている死の内側には作品を 媒介にして佐佐木さんのいう<トータリテイの構造>が今びっしりと詰まっている ように私には感じられるのだ。個の感受性の内に’80年代の時代の感性が息づい ているのかもしれない。
by kakiten
| 2006-08-26 12:44
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