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テンポラリー通信

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2020年 08月 18日

15回目の夏ー「木は水を運んでいる」(1)

「追伸・15回目の夏ームラギシ」と題して、私なりの構成で
村岸宏明=ムラギシからのあの世からの追伸を構成して見た。
会場正面には一原有徳さんの1990年制作「鏡面ステンレス
+アセチレン焼き+フォートエッチング」3面を置いた。
作品前に立つ人が背後の風景と共にステンレスの画面に揺れて
歪み映し込まれる作品である。
左北壁には真ん中に沖縄豊平ヨシオさんの青に亀裂の作品、そして
その両脇に佐々木方斎の「格子群」版画を5点囲繞するように
配した。
さらに入口右の奥まったコーナーには、村岸宏明高校3年に描かれ
た唯一の油彩を掛け、その前に追悼本と故人の生前の写真とを、学
生時代の木の椅子を思わせる木製の椅子の上に配した。
佐佐木方斎の作品「格子群」は縦に一本その中を横に三本の直線が
過る黒・赤等単色で構成された作品である。
この作品を2006年8月展示中にムラギシの訃報が届いた。
7月「木は水を運んでいる」展の後に展示され、同時に訃報も
この作品の展示中で多くの友人たちがこの作品の前に佇んだのだ。
そうした因縁もあり、同時にこの作品が保つ縦と横の直線の交叉構成
が私には現代の物流構造を喚起させて見えたのである。
この作品中央の縦の一線は豊平ヨシオの青一色の背景に縦の亀裂を
配した9種の異なる青の作品と共通するものを感じていた。
方斎の作品もまた一色で一点づつが構成された作品群である。
ムラギシが高校時代描いた油彩画もまた作品中央縦に下半身の両脚
が描かれ顔の見えない両腕の骨の見えるような痩せた指が膝頭を抱
いている構図である。
傷だらけの縦軸が高校3年の青春自画像としてあり、沖縄の美しい
海と空を思わせる様々な青を裂く深い亀裂で沖縄の現実を表現した
豊平ヨシオ。
直線的に交叉する現代の物流社会構造をクールに線だけで構成し
表現した佐々木方斎。
世代も生きている風土も異なる3人。
しかし底に共有されるグローバル物流現代社会への縦軸の哀しみ
絶望・・・。
ムラギシが15回目の夏に<追伸>として届けてくれたメッセージ
<運ぶ>を私は、そう理解している。
一原有徳の作品は、そうした縦軸の直線を排した目の前の歪み
の世界である。
鏡面ステンレスの画面が風景もろとも、前に立つ人間も揺れて歪む
のだ。
他に懐かしい自転車を引っ張る村岸を描いた小品絵画は、網走の
佐々木恒雄さんが漁で多忙の中送ってくれた。
この作品は芳名録前の壁に置いた。

展示を終え明日からのまた新たな発見、ムラギシからの<追伸>を
待つている・・・。

*追伸・15回目の夏ームラギシ展ー8月18日ー30日
 19(水)・21(金)休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503







by kakiten | 2020-08-18 15:31 | Comments(0)


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