朝、歩いていて目眩がした。
いつも近道に斜めに通過する道角の公園。
そこのベンチで休む。
目眩が止み、ふっと眼を上に向けた。
砂場の傍に立つ一本の大きな木。
近道に通り過ぎていた時には、気が付かなかった。
樹枝と幹、梢と葉の美しさ。
久しぶりに感じる樹の身、幹・梢・枝葉。
梢は光を求めて空にむかって根を張り、根は水を求めて、
土に根の梢を伸ばす。
その垂直な生命の時間が、天地に立つ樹木全体に溢れていた。
きっと公園になる以前から此処に立っていた樹なのだろう。
垂直に立ち、天地を全身で抱いていた。
そして、想った。
人間が遠い昔四つ足だった頃、世界は躍動する横軸の世界。
ジャガーやライオン、馬や鹿のように疾駆していた。
前足が両手となり、二本足になって人間は初めて縦軸の
垂直の世界にも生きるようになる。
動物的生き方と植物的生き方の両方を保った生き物が、人間。
何時か、移動の直線・横軸主体の都市構造に疲れていた。
植物・動物両方の視座・生き方の存在を、目眩の休息・坐
る・ベンチが教えてくれる。
<空にむかって眼をあげ>は、死者だけのものではない。
空と土に向かって根を張りー光・水に触れるのが、活きた
人間の本来の生き方でもあるのだ。
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