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テンポラリー通信

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2006年 08月 15日

追悼・村岸宏昭ー界を生きる(46)

不意の死というのは様々な想い出をかき立てる。まるで水面に石を投げ込んだ
ように想い出も広がっていく。次々と脈絡も無く記憶の波紋が波打つ。そして時
間の経過とともに深く沈んだ石のように確実なもの、かけがいの無いものが残る
のだろうか。今は波打つ感情のままきれぎれに彼のことが浮ぶ。ご親戚の叔母
さんが村岸家代々の袱紗を持ってきてくれたこと。その時彼が初めて大きな網元
の末裔であるのを知った。その時頂いた大きな太巻き寿司を後で村岸さんが包
丁で切ってくれるのを見ながら、彼の風体穴だらけのズボンとかちょんまげみたい
な髪型にふっと冗談で「コンビニの消費期限切れた食べ物をホームレスのふたり
で分け合っているみたいだなあ」と言った。「俺の方が人生の消費期限切れ近い
から君はまだまだ先だよ、多く食いなよ」「俺らホモレス・・。」なんてくだらない事
を言って太巻き寿司を分け合って食べた時の笑顔とかが妙に浮ぶのだ。人の死
に立ち会って何故こんな事が楽しかった事と一緒に浮ぶのだろう。あの時いちば
ん笑っていたのは中森さんですよとその後何日かして言われたけれど。このブ
ログの小タイトル<界(さかい)を生きる>はもう次のタイトルに変えようと思って
いたのがここまで延びたのもまるで彼の死に合わせたようだった。<生きる条件
>とか<・・の暗渠>とかいう最近の小見出しもなにか暗示的であった。十四日
墓参の後、南平岸から何故精進川をこの暑いのに歩いたのだろう。休廊日の性
もあるがやはり5月一緒に円山川の源流を歩いたようにまだまだ彼もさっぽろの
川を歩きたかったのかもしれない。界川の源流を歩いて滝を見てきました!と
ここを訪れた時のキラキラした目と顔を今も忘れる事は無い。人の記憶は自分
の生きた記憶とも深く関っている。私にとって彼の白樺はかって前のスペースに
植えた2本の白樺そしてやがて枯れた1本。不動の滝の傍近くやはり在った2本
の白樺そしてその倒れた1本をここに運び作品表現した事とともに私の記憶の中
で彼の死と多重露光のように重なってくるのだ。会期中何度も白樺の幹を抱き川
の水音を聞いていた村岸さん、とうとう今度はあなた自身が川に抱かれたのです
ね。木は水を運ぶーしかし水は君を運んでしまいましたね。なにか無念です。
村岸なんだからもっと岸に居れよ!数少ない苗字だと自慢していたじゃないか。

by kakiten | 2006-08-15 12:15 | Comments(0)


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