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2019年 06月 29日

近代と現代の界(さかい)-大野一雄の戦後(5)

札幌を代表する樹にポプラがあるように、ライラックの咲く
季節をリラ冷えと表するように、明治以降欧米から渡来し地
に根付いた植物は多々ある。
野菜・果物として根付いたキャベツ、トマト、メロン、アス
パラガス。改良され多くの品種が育てられたリンゴ。
これらはドイツ系米人ルイス・ベーマーによって根付き、改良
された野菜・果物である。
ジャガイモやスイートコーンの普及もベーマーが関わっている。 
近代化とは衣食住のすべてに新しい風を吹き込んだ。

そんな近代と共に生まれたた街、函館・横浜・神戸。
そのひとつ函館で1906年10月27日大野一雄は生まれた。
大野慶人は1938年東京で産まれ、その年父一雄は再招集され
戦場へ赴く。
1946年大野一雄は捕虜生活を終えて帰国し、家族と再会。
直ちに江口・宮舞踏研究所の物置を改造しひとり住む。
1948年家族と共に横浜に移り住む。
大野慶人が回想しているように、この年10歳にして初めて父
と暮らす生活が横浜で始まったのだ。
1929年23歳の時見た帝国劇場アルヘンチーナ来日公演
の鮮烈な感動。舞踏への熱い志が、再び動き出す。
翌年江口・宮舞踏研究所から独立し大野一雄舞踏研究所開設。

大野一雄「百年の舞踏」-大野一雄舞踏研究所編の年譜から
拾った大野一雄の激動の近代の流れ。
1949年独立から遡る1929年アルヘンチーナ公演感動
の20年。
その狭間に明治以降の近代化と破綻、そして戦後近代の傷だらけ
の出発が大野一雄父子の人生の節としてくっきりと顕れている。
外来し根付いた樹や野菜や果物のように、真っ直ぐ近代が根付か
ない人間の近代社会。
しかし大野一雄は自らを根付かせたのだ。
ダンスではなく、舞踏という語を世界が認めたように。
日本伝統の白塗り・ジョンガラ・早変わり、そして年齢を超えた
女性衣装の表現。
近代の底辺を支える<根の百年>。
私達はその精神を植物のような源泉の森として、近代から現代へ
その界(さかい)の時代を引き継がなければならないと思う。

*大野一雄追悼「一雄&エルヴィス」展ー6月30日まで。
 第二部として延長「追悼・大野一雄の近代」展7月2日ー7月14日まで。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503









by kakiten | 2019-06-29 17:07 | Comments(0)


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