明治以降の鎖国を解いた近代日本が、ひたすら取り入れてきた
西洋化=欧米化。
国語を英語にしようとまでした過激な西洋化、鹿鳴館時代等極端
な西洋化は、欧米に対する過剰な憧憬を経て、大正デモクラシー
に至るある時代を造ってきた。
急激な勢いで入って来た西洋化の波は、政治的には三国軍事
同盟に顕れる様に、ドイツ・ヒットラー、イタリア・ムッソリニ
ーのファシズムと結びついた天皇制一極支配の変容で挫折する。
そして「鬼畜米英」のスローガンに象徴される、欧米との戦争
対決で、明治以降の西洋化の波は破綻する。
スキヤキから始まる庶民の洋食文化は、牛丼やかつ丼、カレーライス
と庶民に根付いた西洋肉料理の吸収を見せていたのと対照的に、政治
経済は正反対の方向で近代化をあらゆる分野で駆逐したと思える。
英軍の艦船撃破の報に、それまで優れたモダニストと思えた友人
文化人が大喜びするさまを苦々しく見ていた青年詩人鮎川信夫。
彼は、戦後次のように長編詩「アメリカ」を書いていた。
それは1942年の秋であった
「御機嫌よう!
僕らはもう会うこともないだろう
生きているにしても 倒れているにしても
僕らの行手は暗いのだ」
そして銃を担ったおたがいの姿を嘲りながら
ひとりずつ夜の街から消えていった
・・・・・(中略)
1947年の一情景を描き出そう
僕は三人の友に会うのである
手をあげると 人形のように歩き出し
手を下すと 人形のように動かなくなる
僕らが剥製の人間であるかどうか
それを垂直に判断するには
Ⅿよ 僕たちには君の高さが必要なのだろうか
・・・・・
僕はひとり残される
聴かせてくれ 目撃者は誰なのだ!
いまは自我をみつめ微かなわらいを憶い出す
影は一つの世界に変わってゆく
小さな灯りを消してはならない
絵画は燃えるような赤でなければならぬ
「アメリカ!!」
僕は突如白熱する
僕はせきこみ調子づく
僕は眼をかがやかし涛のように喋りかける
・・・・・
「アメリカ・・・・」
もっと荘重に、もっと全人類のために
すべての人々の面前で語りたかった
反コロンブスはアメリカを発見せず
非ジェファーソンは独立宣言に署名しない
われわれのアメリカはまだ発見されていないと
この戦中ー戦後1942年ー1947年の時代を背景とした
戦前近代の私的総括のような詩行で戦後発せられた三行は
後に削除される。
このアメリカは米国ではない。
ランドとして人類の前に顕れたアメリカなのだ。
日本の近代が悲劇的に挫折しながらも、鮎川信夫の内に胚胎
していた近代の象徴としての<アメリカ>・・・。
その夢のような萌芽<小さな灯り>を垣間見るのだ。
*「一雄&エルヴィス」展ー大野一雄の戦後ー6月30日まで。
am12時ーpm7時:月曜定休。なお都合により水・金曜日
午後3時閉廊。
テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503
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