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テンポラリー通信

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2019年 04月 07日

亀裂を縫うー時代というランド(39)

二通の便りが届いた。
一通は先日D新聞夕刊に載った久米淳之さんの豊平ヨシオ展
展評の原文。
もう一通は美術家佐佐木方斎の展覧会案内状である。

久米さんはかって道立近代美術館、道立函館美術館の学芸員
として美術の現場にいて活躍した人だ。
現在は北海道教育庁に所属が変わり、美術の現場とは少し
遠い位置に勤務先が変わっている。
そのある種美術への飢えのような鬱積が豊平ヨシオの作品に
触れた事で一気に燃え上がり書いた熱気が、新聞記事面の
構成上省かれた元文に息づいている。
新聞に載せられた展覧会評で省かれた部分に、今回初めて見た
人とは思えないくらい、鋭く過去の作品との関連性を久米淳之
は熱く語っているからだ。

 豊平は27年前にも別地にあった札幌の同ギャラリーで個展
 を開いている。その頃の作品は、米軍施設の建材だった古板を
 壁に架けたもので、生活の痕跡としての無数の傷、いわば「痛み」
 を絵画空間に提示していた。それらは「廃材絵画」と呼ばれたが、
 素材と、素材に「刻まれた」証を主題とする姿勢は現在に通じて
 いる。今回の青の亀裂の連作は、その後20年余り取り掛かって
 いるが、外に出るのは初めてだという。沖縄の丘の上の作業場で
 この連作がゆうに100点を超えて壁面を壁面を覆っていた。
 今回の展示はそのうちの21点だが、会場の空間の壁面すべてに
 架けられた作品は、見る者を十二分に青の空間に包んでくれる。

1992年11月の廃材絵画と青の色と亀裂のみの2019年3月。
この時間の亀裂を美術の現場から遠ざかった久米さんの心の亀裂が
一瞬にして時間を跳び、現在と過去の現場の時をも超えている。


もう一通の佐佐木方斎絵画展「部分群」案内状は、1990年代初頭
佐佐木が自宅に設けたギャラリーTからのものだ。
1990年末から閉じて久しい幻のギャラリーT。
本人もその後病床に臥していたが、2006年8月現在のテンポラリ
―スペースで毎年未発表旧作を展示して次第に元気になり、新作・新作
作品集を出版するまでに回復していた。
そして初めて自前の自宅ギャラリーで個展という知らせである。
個人編集美術ノート全10巻、現代作家展企画そして新進美術家として
の作品発表と1980年代の美術シーンの先頭に立ってきた方斎が
最後に自ら自宅に設けたカフエと画廊。
その幻の画廊で新作を発表するという。
佐佐木方斎の再生・復帰に2006年から積極的に関わってきた私
にとってこの知らせもまた時の亀裂を縫うような嬉しい知らせだ。

久米淳之さんの現場への亀裂の想い。
佐佐木方斎の自前の美術現場への亀裂と復活。
どちらもが亀裂が亀裂を超える自前の力、その熱い想いを感じる。

*追悼-八木保次・伸子展 4月16日ー5月5日(予定変更)

 テンポラリ―スペース早速札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503








by kakiten | 2019-04-07 17:34 | Comments(0)


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