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テンポラリー通信

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2019年 03月 09日

亀裂は語るー時代というランド(29)

展示が始まって明日で一週間が過ぎる。
豊平さんご夫妻と共に良い時間が流れる。
そして作品たちがひとつづつ、否一人づつと言うべきか
語りかけてくる。
様々な青の色彩を板に塗り込み、その中央に様々な縦の
亀裂を自らの手足で刻み込んだ作品たちは、沖縄の丘の上
のアトリエで見た時は百余点の圧倒的迫力に満ちていた。
しかしここでは、一点づつがそれぞれ固有の表情を見せれ
言葉を発している。
亀裂は亀裂なりに、ここでは憤怒を落とし、肩の力を抜いて
寛いでいるかのようだ。

風土という人間社会と自然世界の共生空間。
沖縄の、圧倒的な海と空に囲まれた島という郷土。
その豊かな世界に国家という人為的な社会区別・差別
が世界を引き裂く。
大和世(ゆ)そしてアメリカ世(ゆ)。
琉球国から沖縄県へ。
玉飾りのように小島が連鎖している様子を表わした名が、何故
沖の縄のような名に変わったのか。
沖縄の深い亀裂の歴史は、この名前の変換明治の近代化・西洋
化と共に始まっていたように思う。
”沖縄は基地と観光だけです・・・。作品はたくさんあります。
ただ眺めています、見に来て下さい・・。”
2009年2月、この咽ぶような言葉に初めて訪れた沖縄の地。
日米戦争時最前線の痕跡、そこを縫うように琉球時代の歴史的
な遺跡群。
そして日米安保に基づく米軍基地の7割が集中する現在社会。
南の島の豊かな自然。
その風土と歴史を切り裂く人間世界の亀裂。
その傷痕に真正面から向き合い、対峙し、青と亀裂だけで
表現し続けた無言の表現者。
豊平ヨシオのここ20余年が、今北の冷気の中でふっと
寛いでいる。
亀裂もまた微笑んで、日々親しみを送ってくれる。
この一週間は不思議な一週間だった。

来週沖縄に帰るおふたりに代わり、今度はどんな表情を
作品たちは見せてくれるのだろうか。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




by kakiten | 2019-03-09 12:18 | Comments(0)


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