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テンポラリー通信

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2019年 02月 24日

最終日・陽光の吹きガラスー時代というランド(24)

午後3時頃西からの陽射しが注ぎだす。
この日も暖かで晴れた日。
外に吊ってあるガラスに夜溜まった水が膨張して、縦に
見事にふたつに割れて落ちていた。
これは何かに使える、と大介さんが保管する。
溜まった水が凍り膨張して、スパッと削ぎ落したように
ふたつに分かれた姿は確かに見事である。
人為的な行為では在り得ない。
凍るという氷柱とガラスの試みは暖気で叶わなかったが、
この日最高の自然からの贈り物の時間が、この後始まる。
西からの陽射しが光の雫となって、小一時間廊内のガラス
の房に溜まり煌めいて、一瞬たりとも止まる事はなかった。
2階吹き抜け回廊から椅子に座ってじっと見守る数人の人。
階下の数人と併せて声もなくただ見守っている。
ストーブの暖気が廊内に空気の流れを生んでいるのか、吊っ
てある「野傍の泉池」のガラス房が揺れて触れ合い、微かな
澄んだ音を響かしている。
光の変化・煌めきと澄んだガラスの響き。
人はみな、陽光が西に傾き廊内に光の照射が去るまで無言で
一時間余り魅入っていた。
最終日の今日、氷柱とガラスの競演は叶わなかったが、最高の
陽光とガラスの光の競演に恵まれたのだった。

光の吹きガラス・・・。
氷結という水の吹きガラスは叶わなかったこの一週間。
しかし最終日に、煌めく光の吹きガラスに恵まれた。
ガラス作家高臣大介にとって、僥倖とも思える幸福な時間だ
ったと私には思える。

*高臣大介ガラス展「重ねあう」-2月24日まで。
*豊平ヨシオ展ー3月5日(火)17日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


by kakiten | 2019-02-24 17:36 | Comments(0)


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