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2019年 02月 10日

35年目の深井克美展ー時代というランド(15)

現在北海道立近代美術館で催されている深井克美展に行く。
企画したのは、35年前この夭折した画家深井克美を発掘した
美術館学芸員正木基氏だ。
同氏によって同じ場所で35年ぶりに深井克美展が再現した
事になる。
企画者正木氏のその情熱と、深井克美の作品の保つ新たな生命力、
このふたつの時を超えた新鮮さに感動を覚えた。

深井克美の作品は私にとっても35年ぶりの再会だったが、そこに
新旧の時間差はなく、むしろ新たな現在性、彼の身体言語を通した
再生の表現を見出したようで新鮮だった。
描く事を通して絶筆の「ランナー」(未完)に至るまでの道程が
身体再生の闘いの生命のドキュメントとして感じられたのだった。
観念ではなく、自らの身体の病を内臓ごと見詰め再生・復活させる
心身一如表現として全体が見えたのだ。
病んだ自らの心身を、現実として絵に描き、そしてその心と身を
癒し復活再生へと願い治癒した苦闘の道程。
そうした心の内臓言語のような、絵画として新たな再生が絶筆「ラ
ンナー」(未完)の疾走する全身像に顕れた気がするのである。 
3歳にして父を亡くし、妹とともに母子家庭で育ち、自ら身体に疾患
を保つ現実を、内臓言語として究極的に絵画化した。
そして自死する直前に夢のように描いた全身像が、未完の「ランナー」
という絶筆、最後の作品だった気がする。
20歳時ベトナム反戦運動に参加と記録に残るが、彼の反戦運動は、
そうした社会的行動よりも自らの内なる精神的身体現実との戦いに
こそリアルテイを見詰めていたのではないだろうか。

その意味で、未完の「ランナー」という遺作は深井克美の生涯を駆けた
身と心の明星のような伝言の作品である。
風が立つように、身体は内なる現実から解き放たれ、全身で立っていた。
彼は全身を復元し、生きたのである。

深井克美の人生30年の歳月を超えた41年後、発掘者正木基氏の
若々しい情熱とともに、作品は新たに今を生きている・・・。

*高臣大介ガラス展「重ねあう」-2月12日〈火)-24日(日)
 前期12日ー17日・ガラス展。後期19日―24日インスタレーション。
*豊平ヨシオ展ー3月5日ー17日

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 tel/fax011-737-5503





by kakiten | 2019-02-10 16:57 | Comments(0)


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