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テンポラリー通信

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2019年 01月 20日

最終日・絵が故郷に還るー時代というランド(12)

会場で滞在製作した大きな絵画が、同じ漁業仲間の友人に売れる。
絵は網走の車道に古くからある白鳥と海の絵だ。
誰が描いたか不明の道路曲がり角沿い壁一面に描かれた絵。
佐々木恒雄はこの絵の写真を元に二羽を拡大し背後の青を
丹念に波に描き直し、二羽の白鳥を太い縁取りで力強く描き
直した。
この辺は佐々木のデザイン的才能が活きている。
そして原画より二羽だけ抽出し背後の波をダイナミックに
描き直した構成力色彩力は彼の優れた絵画力であるだろう。
この無名の路上の絵画は新たな命を得て活き返ったようだ。
この絵を見た同世代の漁師仲間の友人が感動して、二年後に予定
している新築の家に飾りたいと購入を決断した。
併せて今回展示したふたつの波の絵と共に欲しいという。
海上で仕事をする漁師にしか解らぬ波と海の状態。
会場一階正面に並んだ3枚の波の絵を見ながら、その時の海の
状態を楽しそうに話すふたりだ。
そんなふたりが、陸の車路の壁に大きく描かれた飛ぶ白鳥と海面
の絵画をひとりはその絵を再構成し、ひとりは新築する家の吹き抜け
に飾りたいと言う。
海の上を飛ぶ二羽の白鳥は、まるで海を仕事場とし陸で暮らす
ふたりではないのか、・・・。
そんな気が私にはした。
陸で生活し、海で働くふたりの心意気が力強く縁取りされた二羽の
白鳥と波の形象に響きあっている。
そして、それがふたりの網走なのだ。
札幌で描かれ完成したこの絵は、ふたりの共有する故郷・網走を経て、
故郷に還るのだ。
ふたりが掴んだ新たな故郷・網走と共に。
そして、これらの絵が並び飾られる時私もその前に立ち会いたいと、
私はふたりに申し入れたのだ。

*佐々木恒雄展「sign」-1月20日午後7時まで。
*高臣大介ガラス展ー2月12日―24日
*豊平ヨシオ展ー3月5日ー17日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




by kakiten | 2019-01-20 16:40 | Comments(0)


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