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テンポラリー通信

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2019年 01月 19日

離れて見ているふたりの海ー時代というランド(11)

今冬初の滑り・転倒。
一昨年オホーツク月夜の海に一艘の小舟と漁師を描いた佐々木の
絵画を購入してくれた札幌円山北歯科のS先生と佐々木恒雄と近く
の居酒屋で飲んだ後帰り道での事だ。
この日マイナス11度の路上はツルツル。
両足踵が滑り、肩と後頭部を直撃した。
背中に圧痛を少し残るが、他は大丈夫のようだ。

それはそれとしてふたりとの酒席は楽しいものだった。
網走の網元の息子さんで成人し家を離れ米国で歯科医の資格を得て
札幌の円山に診療所を開き40年。
その先生に私は診察台の正面に佐々木恒雄のオホーツクブルーの
細波が画面半分を占めるこの絵を配置して欲しいとお願いしたのだ。
治療後の患者さんにも評判が良いと、S先生が佐々木に言う。
そして静かに盛り上がるふたりの網走話。
S先生が購入してくれたあの夜のオホーツク海の小波が、今回4点の
波だけの作品に発展したと言う。
今まで波だけを見詰める事はなかった。
朝・昼・夕、同じ波は二度とない。
一度は故郷を離れ、父の仕事漁師を継いだ佐々木恒雄。
故郷網走を離れ、自分の志、歯科医の道を40年近く続け、ふっと
思い起こす網走・オホーツクの海。
診療台という自分の仕事場にその青い海が佇んでいる。
口腔の海を治療・検査という櫓を操作しながら、航海を終え患者と
共に見るオホーツク・故郷の海の色。
世代も生きる環境も違うふたりがまるで旧知の仲のように嬉しそうに
語り合っていた。
ふたりの間には、故郷の海が美しい細波を立てていた気がする。

私の今冬最初の転倒は、氷の海の細波の所為かも知れない。

*佐々木恒雄展「sign」-1月20日まで。
 am11時ーpm7時
*高臣大介ガラス展ー2月12日ー24日
+豊平ヨシオ展ー3月5日ー17日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



by kakiten | 2019-01-19 13:34 | Comments(0)


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