峰艶次郎さんの企画による「訳詞家高野圭吾の世界」展が始まる。
札幌生まれのシャンソン訳詞家にしてシャンソン歌手、そして武
蔵野美大出身の絵描き。
札幌の風土とフランスのシャンソンがどう紡ぎあって来たかを、
高野の訳詞を通して知りたいというのが、今企画の峰さんの
テーマだろうか。
昨年の初企画に続き、今回はそこで知り合った表現者5人にも
協賛出品を依頼している。
それぞれが高野の訳詞・歌を聴いて感じた事を自分の作品表現
で出品している。
伊藤也寸志は写真で札幌の下町東屯田通りの街並みを、パリの
下町を思わす写真で。
高臣大介はガラス作品で高野の好きな歌から半月形の透明な硝子
に電灯をセットした、光と影の作品を展示。
竹本英樹は、峰が気に入った街路と人の淡く佇む写真を、また花人
村上仁美は高野圭吾の写真の前に枝とバラ・草の造形を、そして
歌人山田航は高野圭吾の訳詞と歌声から十数首の短歌を発表している。
これらの作品参加により、シャンソンとサッポロという近代しかない
風土が、高野圭吾を通してポプラやリラのように、風土に根付く日本
の、札幌のシャンソンとして志向されている気がする。
各自がそれぞれの嗜好・足元から、近代日本に入って来た文化を見詰
め、見直し、かって漢字から平仮名・カタカナを生んだように文化
の耕地作業(カルチャー)を続ける事に深い共鳴を覚える。
高野の訳詞に時として閃くように感じられる札幌の風土感にハッと
しながら、5人の作品と高野圭吾の歌声・訳詞を見ているのも、何
か幸せなサッポロを感じるのだ。
*‘訳詞家・高野圭吾の世界ー12月16日、18日、19日
am12時ーpm7時;月曜定休日。
*村上仁美オリジナル〆飾り展ー12月21日。23日ー25日
*野上裕之彫刻展「雲間」-12月27日ー1月5日。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503