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2018年 10月 30日

田村佳津子展終わるーみちゆき(8)

ゆったりと深い流れが流れて、6日間の会期が過ぎた。
蔦の紅葉も進み、紅葉に寄り添うように時が過ぎた。
田村佳津子展「ふわふわとひらひらと」。
13年目、荒れた古民家は空き家だった当初の佇まい
から、出入りする人の熱、冬の暖房の暖かさで眠って
いた壁の蔦が息を濃くし、外壁を毬藻のように包んで
いる。
そして毎年晩秋、燃えるような紅葉の衣装を纏うのだ。
田村さんの内なるハイヒール、深い踵(かかと)が
顕れているようだった。

久しぶりに南円山の自宅から、石山通、倫敦館、植物園
伊藤邸、偕楽園跡、清華亭、北大構内を歩いてテンポラリ
ーまで来る。
植物園北向かいの伊藤邸跡は、細く高いマンションの建設
がすでに完成を迎えつつある。
私たち有志が「さっぽろ緑の運河・エルムゾーンを守る会」
を立ち上げ、マンション建設に反対運動を展開した場である。
1万4千平方メートルの敷地十分の一が住宅で、残りは広大
な札幌の自然が残っている庭である。
道を挟んで北大植物園の樹木と同じ自然の森が遺されている。
そこから偕楽園緑地・静華亭ー北大構内と、JR札幌駅から
僅か数百メートルの処に、緑の運河のようにかっての森の記憶
が拡がっている。
そこに今五寸釘のような賃貸タワーマンションが建てられて
いる。
これは新たな百年記念塔のように感じた。
札幌郊外野幌森林公園に50年前建立された開拓百年記念塔。
これが今撤去との報が伝えられている。
私が東京から戻り、友人が訪ねて来た時があった。
九州産まれの大学同窓生Nが、この塔を見て後から伝えてく
れた感想があった。
大学から帰郷したばかりの私には、その言葉は少なからず
ショックだったのを思い出す。
”あの鉄塔は錆びた大きな五寸釘のようだ。大地に刺した和人
侵略の象徴だなあ・・”と。
開拓百年記念塔は、建立後50年で安全上の理由だろうか、
撤去されるという。
そして私が今日見た林立する高層ビル群の中、緑の運河の
ように延びる豊かなエルムの森の記憶。
そこに高く、深く打ち込まれたタワーマンションの新たな
五寸釘。
水位の近い大地に繁るハルニレ、エルムの巨木。
それは伏流水豊かな札幌扇状地の森を代表する樹木だ。
それ故かって札幌はエルムの都と呼ばれ、広大な敷地の北大
は、時を知らせるエルムの鐘と共にエルムの学園と呼ばれた。
その大地に深く、高く突き刺さる新しいタワーマンションは、
正に今日の新たな五寸釘のように見えるのだ。
札幌郊外野幌森林公園に建立された開拓百年記念塔。
それは今、姿・かたちを変え、千年の森・緑の運河エルムゾ
ーンに突き刺さっている。
開拓百年記念塔は、タワーマンションと<塔・タワー>と名
を変え突き刺さっている。
そう感じた。

足長く、背を高く見せるハイヒール。
その尖った踵(かかと)のタワーは、不埒漢を撃退する若き
日の田村佳津子さんのハイヒールのように、逆襲する武器・
契機となり得るか。
個展の終わって、ふっとそんな連想が浮かんで消えた。

*「HOPI(ホピ)カチーナ展in札幌」-11月9日(金)ー11日(日)
 am11時ーpm6時;最終日午後5時まで。
 :11月10日(土)午後2時半~・11日午前11時~
  HOPI(ホピ)出版著者記念トーク:参加費1500円。
*藤倉翼写真展ー11月20日(火)ー12月2日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


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by kakiten | 2018-10-30 13:24 | Comments(0)


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