地下街や舗道を歩いていると、カッ、カツ、カツと背後から
迫る様に靴音が響いてくる事がある。
体調悪く気分が優れない時などは、ひどく脅迫的に暴力的に
この音を感じる事がある。
都会の保つ暴力的音声と思う事がある。
土の上では絶対に発しない音だから。
今回初めて親しくお話し、作品をじっくり見させて頂いて
いる田村佳津子さんから、そんなハイヒールの話を聞いた。
若い時東京新宿で、ふらちな男にからまれ、穿いていたハイ
ヒールを脱ぎガツンと一撃お見舞いし、交番へ駆け込んだ
という。
これはまた別の意味でハイヒールの暴力性・戦闘性を顕して
いるようで面白かった。
音だけではない、もうひとつの尖がった用途・・。
音だけだと、ファシズムの戦闘兵の行進の靴音のようだが、
武器には使わないだろう。
女性の美への執着の保つ、ある面で恐ろしいまでの側面を
象徴しているのかも知れない。
現在70余歳の田村さんにはもうそんなハイヒールは足に
なく、心のハイヒール精神が横溢している。
豪雨で携帯電話の公的警戒警報が、何度も鳴り響く中、未
完成の絵画仕上げに余年がない。
きっとこの人は、若きハイヒール時代もファッションでは
なく、この先の尖った反撃精神を足先に纏っていただけな
のかも知れない。
澄んだ尖ったハイヒール。
都会の地上・地下を横行する美脚顕示闊歩のハイヒールは
なく、今は内面にある尖鋭な深いヒール(かかと)の響き。
黙々とキャンバスに筆を走らせている彼女を見て、ふっと
そんな感想を抱いていた。
*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月28日(日)まで。
am11時ーpm7時
*HOPI カチーナ展ー11月9(金),10(土),11日(日)。
am11時ーpm6時:最終日午後5時まで。
10日・14時30分~・11日~天川彩「HOPI」出版記念トーク
要予約 1500円
*藤倉翼写真展ー11月20日(火)-12月2日(日)
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503