朝晩ストーブの火が恋しくなってきた。
しかし日中は晴れて、澄んだ秋空。
透明な空気に田村佳津子さんの画調が揺れている。
「ふわふわとひらひらと」。
新たに薄いレースに刺繍した大小の白い布が、1,
2階に吊られている。
外から入射する秋の光。
蔦の赤と緑の翳が陰影となって、作品すべてが
会場の空気の流れ、光を抱いて風のように揺れる。
ふわふわと ひらひらと・・。
朝・昼・晩、一日一日。
陽の沈んだ夜は照明の光が、また別の世界を顕す。
会場は、田村佳津子さんの心の湖となっている。
二階の奥の少し引き込んだ小さな押入れ跡の空間棚に、
色あせ古びた書物が並んでいる。
中原中也、埴谷雄高、田村隆一、金子光晴・・。
そして若い詩人文月悠光の処女詩集、山田航の処女歌集。
そして、手巻きのオルゴールが2,3個。
淡々としかし激しく過ぎた長い歳月。
変わらぬ社会と自然への視座。
白く透き通る風のような、硬質で透明な作品の密度。
ふっと立ち止まって、湖(みずうみ)の時を結んでいる。
夏の激しさも冬の激しさも、いっとき収斂する界(さかい)
のような北国の秋晴れの一日。
嫋(たお)やかに、濃く、ひとりの女性の生きざまが
そのまますっと立っているようだ。
*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月23日(火)-28日(日)
am11時ーpm7時
*HOPI展ー11月9日(金)-11日(日)
*藤倉翼展ー11月20日ー12月2日
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503
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