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2018年 10月 19日

最後の肖像ーみちゆき(4)

吉増剛造「舞踏言語」(論創社)出版記念イヴェントで
大野慶人さんが父大野一雄さんの指人形と一体となって
踊った鈴木余位さんの映像を見ながら、今も胸にこみ上
げて来るものを抑えきれない自分がいる。
郡司正勝さんが、最後に慶人さんに託した想いが見える。
オスカーワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」に、慶
人さんの為に「<最後の>肖像」と加えた深い意味が、心
騒がすのである。
大野一雄最後の舞台は、30分中10分舞台で眠っていた
という逸話や、ベッドで手指だけで踊っていたという話も
聞いている。
生と死の狭間で、生と迫りくる死を抱きながら、無意識も
含めて掌(てのひら)は、水母のように宙を舞っていたの
だろうか。
日米戦争の苛烈な戦場で、多くの戦友を喪い一雄が辛うじて
生きて帰る帰途の船中からみた海中の水母。
その水母に戦友の魂を見て踊った後年の大野一雄。
明治以降のひとつの近代の終焉に立ち会い、生と死の狭間に
紡ぎ繋いでいった一雄の近代精神。
慶人さんは、戦後近代と戦前近代の狭間で、今表現する時を
迎えつつあるような気がした。
あの大野一雄の指人形は、プレスリーの<手をとって、さあ
この人生を捧げよう>という曲・声とともにあり、大野慶人
さんの戦後の肖像が見えて来た気がするのである。
郡司正勝先生初七日自宅訪問の際、帰途に発見した北原白秋
「この道」札幌誕生の逸話。
そしてこの歌曲が寄り添うように、二度目の独舞公演「ドリ
アン・グレイ最後の肖像」の曲となった偶然・必然。
「愛さずにいられない」と「この道」を抱いて、大野一雄・
郡司正勝の愛した北の大地・石狩川の一点で「ドリアン・
グレイ最後の肖像」を独舞公演して欲しい。
石狩 みちゆき 大野慶人 は、<川が海へと確実に注ぐ
ように 流れに身をゆだねる時もある>のだ。

一雄&慶人ー郡司正勝。
偉大なる戦友の水母の魂と共に。

*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月23日(火)-28日(日)
*ホピ展ー11月9日(金)-11日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2018-10-19 13:35 | Comments(0)


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