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2018年 10月 18日

福寿草の黄ーみちゆき(3)

都心、時計台近くに新築された札幌市民交流プラザ。
その1,2階吹き抜け部分に谷口顕一郎の「札幌のかたちを
巡る2018」と題する作品が3点展示されている。
札幌市の上空写真を元に、市街地と自然・水際の境目等を
写し取った「札幌のかたち」、それを河川の流れ等で51個
に分け壁面に埋め込んだもの、全パーツを再び組みあわせ折り
畳みながら造形したもの、この3点が展示されている。
圧巻は51個の河川等で分かれた札幌の部分が、再び組み合わ
され折りたたみながら、吹き抜け中央に吊り浮いている作品だ。
刻々変わる外光と照明の中で、エアーコンの空気の流れに緩く
廻る黄色い羽根か花のような造形が美しい。
以前本郷新賞を得た作品の地下街展示に対し、大通り公園の空に
繋がる螺旋階段に沿い、折りたたみを開いて宙に浮かせ展示した
方が良いのではないか、と新聞に書いた事を思い出した。

 私はこの色からふっと福寿草の彩を連想していた。冬の腐れ雪
 の間から最初に春の色彩を放つあの黄金の色彩だ。
 ・・・・
 そして出来ることならオランダ司法省の作品のように宙に浮いて
 螺旋状の階段からも見てとれ、色んな角度から見られるような
 展示であって欲しいと思った。
 それこそが札幌という大都市と自然の亀裂と継続を表すモニュメ
 ントになると思う。
 地中から空へ向かって凍土を破る福寿草の命の強靭さと、人間が
 自然を征服して直線化した地下空間との対比・相克こそが真の
 主題ではないかと思うのだ。
 
3年前北海道新聞夕刊に書いた記事の一部である。
この時描いた夢が今回の交流プラザの空間で実現した気がする。
大きく開いた福寿草の花のように揺れる吹抜けの作品、そして押し
花・種子のような「札幌のかたち」3点の作品は、直線化し、パッ
クされ、タワー化し、プラザ化した札幌の街と対極の、継続し地続
きの何かへの祈りのように存在する。
十余年前、ケンとアヤふたりの旅が経験した国境という亀裂と対極
の継続する大地、地続きの世界・欧州への旅。
その祈りのような故郷へのメッセージが、この作品の命として籠め
られている気がする。

 情報化社会の中で、世界の都市はすでに家の中にある。
 交通手段が整った中で、地球は小さくなったと錯覚することがある。
 しかし、やっぱり旅はいい。実際の地球は大きい。・・・
 そして都市の征服された自然から離れて豆粒ほどの人間の存在を
 知った時、何かわからないものに対して、ありがたいという言葉が
 浮かんだ。・・・
        谷口彩子 サハリンーシベリアー欧州旅日記から

*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月23日(火)ー28日(日)
*ホピ展ー11月9日(金)ー11日(日)

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by kakiten | 2018-10-18 15:06 | Comments(0)


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