2018年 10月 16日
1998年8月14日~16日シアターX(CAI・カイ)で 初めて郡司正勝原案・大野慶人舞踏の「ドリアン・グレイ最後 の肖像」が披露された。 その際慶人さんが送ってくれた公演パンフレットがある。 「ドリアン・グレイ最後の肖像」初演に際して、-今、私の考え ていることー と題した一文である。 4月21日は、郡司先生と「ドリアン・グレイ最後の肖像」の 二回目の打ち合わせを札幌の先生のお家でする予定が。初七日 のお参りになってしまった。坂道を登って、ご霊前でしばらく の時を過ごしての帰り道、同行して下さった札幌の友人中森さん が、よしとさん、北原白秋の「この道」ご存知ですか、と尋ねら れた。僕が17,8歳の頃、兄は声楽家を志していて、歌の先生 が家に来られて「からたちの花」「この道」をよくレッスンして 下さっていて、ぼくはいつも傍らで聞いていたので、深く体内 に入っている歌であり、かつ「ドリアン・グレイ最後の肖像」の 稽古の初日、この作品を創ることに立ち会ってくれているスペイ ンの舞踏家、ジョアン・ソレルが、何故か「この曲はどうですか」 と「この道」をCDで聞かせ、一歩を踏み出すキッカケにもなって いたのでした。 この坂道が「この道」ですと聞かせてくれた時、深く呼吸する だけで黙してしまいました。立っていることが、自分の生きて きた、人生を全て含んだ起点に立っていると、実感していたのだ と、いま思っています。・・・・ ---- 1969年、新宿で初めての独舞公演以来、二度目の独舞公演を創る ことを決意した、とこの時の決意を慶人さんは語っている。 そして自らその第一回の独舞公演を<自分としては大失敗の会>と 振り返っている。 なにひとつ解決していません。しかし「ドリアン・グレイの肖像」 は始まりました。「ドリアン・グレイ」であり、「大野慶人」の 最後の肖像でもある、と考えています。 寝床にあった先生が、「ドリアン・グレイの肖像」、よしとさん のは「最後」が付くのです。「ドリアン・グレイ最後の肖像」です とおっしゃられた、来年四月のご命日までに「作品」として独舞 公演をもって、先生の御魂に捧げたいと願っております。 最初の会から三十年、今年還暦になった私の、自身に対するけじめ でもあります。 一九九八年七月二十四日 大野慶人 二回目の独舞公演に残念ながら私は立ち会っていない。 そして2010年大野一雄逝去。 その後死後の大野一雄の大きな背中を背負いながら、慶人さんの独舞 への想いは続いていると、私は直観している。 何故なら奇しくも「ドリアン・グレイ最後の肖像」独舞公演が行われ たと同じ舞台シアターX(カイ)で大野一雄の指人形とともに、実に 感動的な独舞を魅せているからである。 郡司先生、そして大野一雄。 このふたりを抱いてこそ、大野慶人ではないのか。 大野一雄が2002年9月両国シアターXで踊った時の様子を石狩 河口公演記録「石狩の鼻曲がり」(かりん舎刊)に慶人さんは書い ている。 発刊によせて 大野慶人 ・・・舞台では思わぬことが起こりました。大野一雄は三十分 舞台にいましたが、十分は完全に眠ってしまいました。夢を見て 夢の中で踊っていると感じました。観客も一点に集中されました。 その視線に支えられて舞台は終了しました。 ・・・・・ 作品の題名は<わたしの舞踏”命”「かたちと心」>でありました。 無心で、完全に即興で踊る大野一雄の現在には、それしか名づけ られないと考えた題名です。 終わって数日たって思い返したときに、使用した音楽のほとんど が石狩川での公演で使ったものであったことにびっくりしました。 ・・・・・ 石狩川での公演は”命”そのものとなぅて、二人の中に存在してい ると実感しています。 感謝 2002年9月25日 大野一雄「石狩の鼻曲がり」(かりん舎刊) 今回シアターX(カイ)の吉増剛造「舞踏言語」出版記念イヴェント で、大野慶人さんが大野一雄の指人形とプレスリーの「好きにならず にいられない」の唄曲と共に見せた独舞こそ慶人さんの”命”の舞踏と 私は感じる。 2×1=2。一雄、慶人×1=一雄・慶人 「この道」と郡司正勝、石狩河口公演以降いつも稽古場に流れていた プレスリー「好きにならずにいられない」と大野一雄。 このふたりへの想いが<×1>の現実となった時こそ、それが本当の 独舞公演「大野慶人最後の肖像」なのではないだろうか。 慶人さん、大野先生の石狩河口、郡司先生のサッポロ。 このふたりの優れたモダニズムこそが、ドリアン・グレイの命と思い ます。 石狩の鼻曲がり、鮭の産み産まれる源流の泉(命)の傍で独舞です・・。 *田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月23日(火)-28日(日) am11時ーpm7時 *ホピ展ー11月8日ー11日 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2018-10-16 17:08
|
Comments(0)
|
アバウト
カテゴリ
以前の記事
2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 お気に入りブログ
リンク
その他のジャンル
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||