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2018年 10月 11日

まいまいずサッポローシジフォス(40)

札幌市のど真ん中札幌市役所傍に札幌市民交流プラザという
豪華な建物が出来た。
その1,2階吹き抜けホールに谷口顕一郎さんの札幌市の街の
形を上空から俯瞰した彫刻作品が展示されている。
2000年頃から都市の壁や路上の亀裂をモチーフに凹み彫刻
として制作してきた谷口顕一郎の新たな展開である。
十余年前稚内よりサハリンを経由してシベリア大陸を横断し、
欧州ドイツへ渡った谷口顕一郎と恋人の彩子さん。
欧州でオランダ司法省や様々な国でその凹み彫刻制作を発表
してきた彼らが、ふたりの故郷札幌で故郷の形を大きな福寿草の
ように吹き抜けを跳ぶ造形として完成させたのだ。
一度背にした故郷札幌。
そこにあたかもまいまいず井戸の螺旋状の着地のように、故里に
ふたりが舞い降りた。
新たな故里の地図を自らが創作し、故里の大地に咲く黄の花
福寿草のように、宙に浮かせた。
十余年前その旅立ちを、今は奥さんの彩さんが日記の形で記して
いた。
シベリア大陸横断の翌年その日記は書かれている。

 去年の夏、私は恋人と旅に出た。
 日本最北端の街稚内からサハリンへ、サハリンからシベリアへ。
 ヤクーツクに滞在し、さらにトナカイ飼育のキャンプへ。そして
 飛行機と鉄道でロシアを西へ進みベルリンへ来た。
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 情報化社会の中で、世界の都市はすでに家の中にある。交通手段
 が整った中で、世界は小さくなったと錯覚することがある。
 しかし、やっぱり旅はいい。実際の地球は大きい。近くに見えてる
 山は、遠く先にある。そして都市の征服された自然から離れて豆粒
 ほどの人間の存在を知った時、なにかわからないものに対して、あ
 りがたいという言葉が浮かんだ。
 物語のように、旅を通して、だんだんと私が成長したかはわからな
 いが、とても貴重な体験であったことは間違いない。
  
この日記全文と旅の写真を纏めて、その後今までの回顧も含めて一冊
の本にしよう、と私は考えていた。
市民交流プラザの展示と併せて個展をという話とは別に、かねがね
谷口顕一郎さんが呟くように語っていたケン&アヤで作品発表したい
という願いを、このふたりの原点ともいうべき彩さんの日記出版と共
に、ふたり名初の個展を考えていたのだ。
村岸宏昭追悼の本、大野一雄石狩河口公演等の本出版に協力してくれた
かりん舎にこの話をすると快く了解してくれたのだ。
そしてケン&アヤドイツ帰国前日会合が持たれた。
本制作のプロ、坪井圭子さん、高橋淑子さんの見事なプレゼンに始まり、
彩さんの積極的な提案もあり、ベルリンからメール等で打ち合わせを重ね
、年を越して形にするまで話は進んだ。
人間の保つ男性性と女性性の、人間としての深い共同作業。
人が自然の身体性に基づく行為を取り戻し、真の人間的人生を獲得する事
の原点のようにあの旅日記はある。
いまこそ多くの人に、ふたりが一身協力して制作した作品とともに
読んでもらいたい、そう私は思うのだ。
男・女×1=人間ー2×1=2。
<×1>こそが、人間の行為。
その垂直軸を、今ふたりは故里札幌で掴みつつある。

*田村佳津子個展「ふわふわとひらひら」-10月23日(火)-28日(日)
 
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2018-10-11 14:52 | Comments(0)


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