テンポラリー通信

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2018年 10月 09日

最終日ーシジフォス(39)

台風の影響が去った日曜日の夕刻。
初日に続く「ハナビト ト 火ノ刺繍」展収めのパフォーマ
ンスが始まる。
ススキを束ねた根の上部を真っ二つに搔き分け、その間に
並んで立っていた銅板ロールを吹き抜け2階より差し込む。
打刻した文字と絵の具に塗れた長尺の銅板ロールが滝のよう
に彼岸花とススキノの穂の間を流れ落ちて来る。
そこに紫の水を上から落下させ彼岸花の紅い花弁を散華する。
大胆な内なる根の散華だ。
吉増剛造展に最初に参加した時、自宅庭から掘り起こした木
の根をそのまま展示した村上仁美さん。
その後も連続して吉増展に参加し、今回初めて吉増剛造と
対の展示で、自らの心の庭からその隠された根を体現した
という気がする。
最終日のパフォーマンスを東京にいる吉増さんに報告した
時、掛けてくれた言葉を後で聞いた。
”よくやったね、長い事我慢してきたね・・”と。
「根源の手」という画期的な戦後近代への考察、吉本隆明
思考を著した詩人の閃くような感想である。
ひとりの無名の造形作家の、心の根の理由(わけ)を、
暖かく厳しく見詰めていた事が解る言葉である。
2011年12月「石狩河口/坐ル ふたたび」から始まり、
展じてきた自らの根の探索・開墾と同時にこの間関わった
多くの人たちの心の耕土にも、その表現の鍬は届いていた
と、私は思う。
映像作家鈴木余位さん、美術家中嶋幸治さん、そして造形
作家村上仁美さん・・へと。

大きな美術館から始まったこの間の吉増剛造美術館巡行。
その基底となったテンポラリースペースでの毎年の展示。
ひとつの括りとして先月終了した東京・松涛美術館展に
呼応するかのように、テンポラリースペースでのひとつの
括りが今展示であったような気がしている。

最前列にして最後尾。
吉増剛造のラデイカルな花が咲いたような最終日である。

*田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」-10月23日(火)ー28日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


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by kakiten | 2018-10-09 12:34 | Comments(0)


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