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2018年 10月 03日

水の火入れーシジフォス(37)

「ハナビト ト 火ノ刺繍」展初日。
吉増剛造さんが夕刻函館より到着。
村上仁美さんとの打ち合わせが始まる。
村上さんにアイマスク着用を促し、初日のセレモニー
の段取りが決まる。
人が集まりだした。
吹き抜けを貫く吉増さんの銅板。
それに寄り添うように石狩の海岸近くで採取したススキの
荒々しい穂。さらに札幌の山奥で採取した柔らかなススキ
の穂が束ねられている。
床には吉増さんの多摩美大で使用された「火ノ刺繍」と打刻
された銅板が絵の具に塗れ敷かれている。
この日出席者に手渡された穂村孝弘「肉体の反乱」コピーに
書き込まれた朱筆の吉増さんの注釈文。
これは先日3日間に渡り東京で催された「舞踏の言語」出版
記念で三人の舞踏家との対話会場で配られたものだ。
そこに加えるように黒筆でこの日の花人への祝言が重ねられ
ている。
大野一雄、土方巽の佇まいの真髄を、花人に重ねて祝言と
なっている。
そしてパフォーマンスが始まった。
アイマスクを着け二階吹き抜けに立ち、手に持った水瓶から
一階床の「火ノ刺繍」と打刻された銅板を目掛けて注ぐ。
銅板に弾ける水音が立ち上がり、銅板に吉増さんが滴らした
絵の具の乾きを一瞬にして鮮やかにする。
良く見ると2階の村上さんの手には紫の絵の具が塗られている。
紫水が滴り落ち、火ノ刺繍の銅板を撃つ。
紫の、水の火入れ式だ。
この行為自体が<花人>への魂入れ、入魂の儀式である。
自らが村上仁美さんの独立を祝し、名付け親となった「花人」
のお披露目。
吉増剛造の深い愛と深い配慮がこの儀式には感じられる。
内陸源流域と海岸傍で採取されたススキの優しく、荒々しい穂。
そこに24号台風で遅れ届いた真っ赤な彼岸花が燃えている。
火と水、花と穂 そして展げられた大きな短冊状の銅板。
それらの佇まいそのものが、舞踏のようだった。
<花人>とは、自らの生き方そのものの佇まい、その姿。
水の火入れ、花の入魂式。
村上仁美さんへのヨシマス司祭の心籠る入魂式だった、と思う。

*村上仁美・吉増剛造展「ハナビト ト 火ノ刺繍」-10月7日まで。
 am11時ーpm7時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




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by kakiten | 2018-10-03 14:30 | Comments(0)


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