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2018年 07月 15日

基地・ふたりーシジフォス(10)

蒸し暑かった昨日。
喉が渇いて清涼飲料を買いに外を歩いていると、郵便配達の
バイクが止まり、声を掛けられる。
沖縄から速達ですよ、と大きめの郵便封筒を手渡される。
郵便配達の人、顔を覚えていてくれたんだ、と何となく感激する。
封筒は沖縄の豊平ヨシオさんからだった。
中には大きな文字の手紙と、豊平さんが美術館で購入した吉増剛造
さんの3冊の本に書かれた献辞コピーだつた。
6月NHK密着取材撮影の合間を縫って吉増さんが、アトリエに作
品を見に来てくれた時のレポート・報告が書かれていた。
1時間弱、沈黙・無言のまま椅子に座って作品群を眺瞰していた
という。

 無言と沈黙。
 座って。

豊平さんが美術館で購入した吉増剛造展覧会図録・詩学講義ー無限
のエコー等は、現在スペインにいる愛息の太郎君に送る為なのか、
豊平太郎さんへと大きく書かれ、<沖縄の白眉のときを、希蹟のよ
うに過ごしつつ、・・・>
といった豊平さん作品への献辞が添え文が綴られていた。
この時の胸に積もるものがあるのか、豊平さんの大きな男らしい
文字が時に立ち止まり、時に溢れて言葉にならない気持ちが10葉
余の文面に滲んでいる。
20年近くこの作品を黙々と創り続けてきた、現代美術の豊平ヨシ
オの表現体。
この作品群が同世代、福生・横田基地近くに育った吉増さんと、
今なお日本70%の基地に囲まれた沖縄の純粋な魂を真っ直ぐに
刻み続けている豊平さんとが、現代詩・現代美術の最前線で出会
っている。
ふたりの間の作品を前にした<沈黙・無言>には、深い雄弁、深
い信頼が見えてくる。
配達前に声を掛けて渡してくれた郵便配達人さん。
そのずっしりした大きな封筒の重さと共に、中味に詰まったふたり
の心の重さも、私には嬉しく心地良いふたりの魂の重さだった。

*チQ展「NMAMDB」-7月15日午後7時まで。
*斉藤周展「継ぎへ」-8月15日ー26日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2018-07-15 12:48 | Comments(0)


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