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テンポラリー通信

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2018年 07月 13日

碧(あお)の記憶ーシジフォス(9)

2階吹き抜け廻廊の壁一面に、古代洞窟壁画のように
自由奔放な黄色の大文字「南無阿弥陀仏」が躍り、そ
の背に重なる様に銀色の経文の文字が緑の背景に踊っ
ている。
そして真ん中に「幸福的生活」と書かれた文字と共に
女神が瞑想した笑顔で立っている。
一転して吹き抜け下の展示は小品が主体で、碧に銀の
小品9点が正面壁に縦横3点の方形の形で求心力を保
って鎮座する。
この二色が主流となって、他の小品が逆放射状に世界
を構成している。
日中陽の光が入る時は、できるだけ照明を点けない状態
で見て欲しいと思った。
銀が照明で特有のギラッとした光を喪うからだ。

今回の展示のトニカ(基調低音)となっているのは、
<祈り>である。
そして碧と書くミドリの色彩だ。
今肝臓と膵臓を病んでいるという母上の名前に由来する
碧(みどり)だと聞く。
それに添う銀色は、多分チQさんの祈りの彩(いろ)だ。

初個展で、彼は初めて母への祈りを真として、行・草の
展開を顕現したと思う。
それは同時にかって憧れ移住した沖縄の彩(いろ)とも
重なり、祈りの銀彩は沖縄の哀しみの亀裂からも及んで
きたものかも知れない、と私は感じていた。
2009年2月、2018年4月二度沖縄で見た豊平ヨ
シオさんの、紺碧の青に亀裂の作品がどこかでそう告げ
ていたからである。

チQさんの幻に終わった沖縄移住は、今母上への深い感謝
と余命への深い祈りという形で、彼自身の御嶽(ウタキ)、
ニライカナイのように顕れている。
次へ繋がる、或いは次へと繋げなければならない、不惑の
初個展なのだ。

*チQ展「NMAMDB」展ー7月15日(日)まで。
 am11時ーpm7時
*斉藤周展「継ぎへ」-8月15日ー26日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503





by kakiten | 2018-07-13 12:32 | Comments(0)


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