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2018年 06月 05日

息づかいーサッポロ・ランド(15)

ガッシュ、素描、多彩な色彩、黒一色。
八木保次ワールドランド。
素で赴くまま、床に紙を置き奔放に色と
線を跳ばした日常そのまま。
時に傍で見ていた奥さんの伸子さんが
折角の絵が壊れそうと感じ”やっちゃん!
そこで止めて!”と叫んだとも聞く。
自由奔放、保次さんは絵筆を止めなかった。
作品を並べ一日置き、今日眺めている。
息づかいが聞こえそうだ。
そして一緒に宮の森の奥山を散策した事を
想い出す。
道なき道を木の枝を掴み、草を掴んで登った。
時に草叢に坐り、森に耳を澄ました。
山奥の谷は5月の早緑。
左の谷崖はカッコウが鳴き、右の谷崖では
うぐいすが鳴いていた。
短い春の鳥たちの声の競演。
そのカッコウも、もう今はいない。

保次さんのガッシュには、山奥の、自然の気配
が潜んでいる気がする。
数多く並べれば、そんな保次さんが甦る。
東京池袋モダニズム世界から後年郷里札幌に帰り、
生まれたススキノ・中島公園近くの市街地から
西方宮の森の山林地帯に住み発見した郷土・風土
の彩(いろ)。
抽象・具象に関係なく、北の風土・郷土の彩・光
を絵画に捉えようとした保次・伸子の画業は札幌
モダニズム貴重な足跡として記憶され遺されるべきだ。

今日遅れていた札幌・響文社の大冊吉増剛造「火ノ刺繍」
がやっと送られてきた。
これに心籠った作者手書きの寄贈本栞を添え折り畳ま
ないで厚さ6cmの書物に挿入し発送する。
出版元が札幌という事もあり、吉増さんのご指名で
梱包は花人村上仁美さんが担っている。
八木さんの絵の前で、何日か八木保次・吉増剛造の
共演ともなるだろう。
包む(くるむ)行為もまた、クリストならずとも芸術
行為だ。
色彩もまた然り、光に包(くる)まれた彩(いろ)だから。

*八木保次ガッシュ・素描展ー6月5日〈火)ー17日(日)
 am12時ーpm7時:月曜定休(水・金午後3時で閉廊)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

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by kakiten | 2018-06-05 15:40 | Comments(0)


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