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2018年 05月 27日

異父兄弟・子母澤・三岸ーサッポロ・ランド(10)

全国各地の大学出版会の編集・運営等を指導している
元東大出版代表茅ケ崎在住の竹中英俊氏が来る。
明治の治水学者岡崎文吉の終焉の地茅ケ崎。
その岡崎宅から数百メートル同じ茅ケ崎にお住まい
という事が縁となり、私の大学時代の先輩門倉弘氏と
ともに仕事をした縁も重なり、出張の折りは毎回テン
ポラリーに寄ってくれる。
宮城県のお生まれで、同じ大学出身という事もあって不
思議と話が合う。
蚕(かいこ)をお蚕さんと呼び、味噌・醤油の自家用に
麦畑で麦踏みの経験があったという、東北の逞しい生活
を経ている東北人の面白さがあるのだ。
今年2月の鈴木余位・村上仁美展「ふたたび 花傍らに」
の村上さんの絹糸の造形にも鋭く反応し、及川恒平×山田
航ライブのテーマ「麦」にも深い関心を寄せていた。
北海道生まれにない、東北の生活基盤の知識・経験。
それがここで新鮮に触発される。
今回も今北海道立文学館で開催中の「子母澤寛」展を
見て聞いた話が心惹かれた。
石狩河口近い厚田村生まれの子母澤寛。
その異父弟が、なんと昭和前半の天才モダニスト画家
三岸好太郎だという。
ふたりの父の祖父は明治初期函館戦争の敗残の武士、
子母澤寛は時代小説の素材を幕末・維新、遊侠・股旅
モノとして「新選組始末記」「弥太郎笠」など数々の
名作を世に残した。
それに対し異父弟の三岸好太郎は札幌薄野の遊郭に産ま
れ、その斬新なモダニズム絵画は今も三岸好太郎美術館
として網羅されている。
榎本武揚等の蝦夷地独立の夢。
その祖父の血統を継いだふたりの孫たち子母澤寛・三岸
好太郎。
「無頼三代 蝦夷の夢」という子母澤寛展の副題は、言い
得て妙である。
なにか札幌モダニズムの根を見ている気がした。
明治新政府に抗い、伝統文化に抗う・
幕府・明治新政府に対峙する蝦夷共和国の夢。
伝統的な絵画・彫刻に対峙するモダニズム洋画。
その根は<対峙>というアンチの精神なのだ。

竹中氏によって石狩河口のもうひとつの原像が
開かれた気がした。

*八木保次・伸子展「彩」-期間不定展示中。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




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by kakiten | 2018-05-27 15:19 | Comments(0)


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