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2018年 05月 12日

八木敏・保次・伸子の家ーサッポロ・ランド(2)

小別沢のトロッコまで朝出かけた。
建築家ふたりが住む山のトンネルの向こうだ。
近々もっと奥の下った方に引っ越すという。
かって八木保次さんと少年のように散策した山野。
懐かしい想いが込み上げてくる。
そしてトンネル前の八木宅はすでに他者の手に渡り
改築中だった。
なにかのお店だろうか、看板らしきものもあった。
今展示中の八木保次・伸子展「彩」にそっと飾ってある
竹の表札は、ここにかって在ったもの。
保次さんのご母堂敏さんとは、祖父以来の古いお付き合い
で、私の父をシローちゃんと呼んでいた。
父が死んだ後聞いた敏さんの忘れられぬ言葉がある。
”なんのかんの言っても、シローちゃんはお祖父ちゃんの
下で、好きな事やってたのよ・・”
華道家との個人的志の共有を重ね、流派を超えた表現として
の活け花を追求した父の生き様を、愛情込めて一言で言い放
った明治生まれの粋で純粋な俳人であり花人の先生だった。
1977年敏さんの死去に伴い、保次・伸子さんは東京池袋
のアトリエを引き払い本格的に故郷札幌に移住する。
その3人の名前の遺る表札をご遺族の了解を頂き飾っている。
八木敏・保次・伸子。
伸子さんのご母堂松本春子さんも仮名文字書道の大家として
名を遺した人だった。
戦後アヴァンギャルドの美術運動の中で、抽象・具象の差こ
そあれ、前衛的絵画運動の波に身を投じた保次・伸子の背後
には、こうした書道・俳句・華道の優れた母の存在があった。
その意味でもこの三人の名前が連なる手彫り手書きの竹の
表札は、私には色んな意味で大切な品なのである。

”なんのかんの言っても、トシオちゃんもひとりで好きな事
やってるのよ・・・”
そんな敏さんの声が今聞こえてきそうな気がした。
某新年会の帰り、敏さんがそっと手を差し伸べ私の手を
握った。まだ二十代初めの帰郷したばかりの頃。
通り過ぎる人が眩しいものをみるように、微笑んで目を向け
ていた。
不思議なふわふわした気持ちだった。
あの後私は自分の名前の由来に気づいた気がする。
敏・夫と・・・。祖父ちゃん、そうなの?

*八木保次・伸子展「彩」-5月20日まで。
 am12時ーpm7時:月曜定休:水・金午後3時まで。
*及川恒平×山田航「麦」ライブー5月20日午後5時半~
 参加費2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



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by kakiten | 2018-05-12 13:00 | Comments(0)


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