ここ2,3日、賀村順治の「狼の歌」がいつも座右にある。
贈られた時に記された表紙裏の一首。
戦場へ
行く早鐘のランナーの
背中に涙あふれていたり
この歌が賀村順治その人を語り、私に思い出させる。
繁茂に会っていた事はない。
しかし亡くなって今感じるのは、背中にじわっと
伝わる寂しさの寒気、存在そのものだ。
私は祖父・父と続いた百十余年の生業を閉じ、私自身
の一本道に岐路を定めた2006年。
賀村順治は黙ってその出発・漂流を見守ってくれた。
自宅の倉庫を提供し、数多の荷物を預かってくれた。
侠気の人である。
思い出せば、じわっと背中にくる暖かさ、寂しさがある。
想い出にも身体性があるなら、彼は正しく背中のような存在。
私は彼を背中で感じている。
俺は帰れ胸の奥処の泥の温みその肉声の端緒の祖国へ
君は帰っていったのだ <・・・温みその肉声の端緒の
祖国(くに)へ>と
*鈴木余位・村上仁美展「ふたたび 花傍らに」-2月27日(火)
-3月11日(日):月曜定休。
*秋元さなえ展ー3月20日ー25日
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503