我々を包み本質的に存在している見えない風・空気、
光・彩。
人と物の間に界(さかい)という世(ゆー)が息づ
いている。
この見えない世(ゆー)を、高臣大介の透明な
ガラスが昼のひかり、夕の光、夜は灯の光を、受け
留め、溜めて、光・空気一体に白い壁に転位している。
空気の流れ、光の流れ、揺れ、触れて、音を発する。
光は溜まり転位して、吹きガラスの見えない起伏を
影と光の濃淡に換え、会場自体が転位する空気と光
の淵・函(ハコ)、空気と光のparent(源)
になっている。
そこは自然に転位する界(さかい)という世(ゆー)。
沖縄の人はある時代を世(ゆー)と表現した。
最初は琉球王朝が統治する独立国家「うちなあ世(ゆ)」
そして明治以降の「大和世」。
戦後は戦勝国アメリカ軍支配の「アメリカ世」。
そういう社会的時代の世(ゆー)に対し、自然の世(
ゆー)は柔らかく本質的で支配的ではない。
光と空気という見えない世界は、生命に不可欠な存在
でありながら、寄り添い本質的である。
高臣大介の今回の展示・作品は、そうした本質的存在を
過ぎ行く時の束の間の界(さかい)に可視化し、それ自
体が転位する源ーtransーparentとして顕在
化した稀有な淵・函となった。
消えたヌプサムメムー野傍の泉池は、この函の中に光と
影となって溢れ出たのだ。
*高臣大介ガラス展「紡ぎあう」-2月12日(祝日)まで。
am12時ーpm7時。
*鈴木余位・村上仁美展「ふたたび 花 傍らに」ー2月
27日ー3月11日。
*秋元さなえ展ー3月20日ー25日
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503