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テンポラリー通信

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2006年 07月 25日

来る人、来ない人ー界を生きる(29)

定休日溜まっている色んな事あってギヤラリーに出る。留守録音ある。九州の阿部
守さんからだ。程なくまた電話が鳴り阿部さんだった。9月の個展の打ち合わせで
13日来廊の事と会場の広さ等の問い合わせが主な用事だった。阿部さんは5月
プレオープンの時ニユージーランドの銘酒ラフロイグをお祝いに送ってくれ、同時に
新作のカタログも併せて送ってくれた。「火焔鉄」というタイトルで彼の鉄の作品を陶
芸の窯で炎に晒し再焼成した過程を記録したものである。彼が3年前のテンポラリ
ースペースの個展で「もう一度鉄という素材そのものと向き合う」と言っていた事を
思い出した。さらに彼は作品を炎にかけ、鉄その物の出生にまで遡ろうとしている
ように思える。阿部さんのこの極めてラデイカルな方向性は素材そのものからもう
一度自分の作品を見直していこうとする真摯な姿勢から来ているのだ。現在福岡
教育大学で美術の教鞭をとりながらも北への熱い想いは今も変らずあって9月の
滞在制作は彼にとってとても大切な事である。今回は川と水をテーマにするという。
思えば遠い近いに関りなく遠くても来る人は来るし近くても来ない人は来ない。その
差は何処から来るのか個別な問題もあって一概には言えないが詰まるところは問
題意識の差、共有する意識の現場の違いとでも言えるのかもしれない。以前の空
間との違いから来なくなる人もいるし関係なくさっぽろを第一義に真っ直ぐ来てくれ
る人もいる。私にしても作家の大事な転換点に今回立ち会う事が出来ればこの場
所を立ち上げた労苦も報われるのである。前のスペースでは出来たが今の場では
できないなどと決して言わせはしない。

*28日(金)まで。村岸宏昭展「木は水を運んでいる」
*28日午後7時から村岸宏昭コンサート

by kakiten | 2006-07-25 15:13 | Comments(0)


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