菅沼緑展もあと一週間を残すだけとなる。
板で張られた様々な立体形に単色の強い色彩。
この単純明快さは、以前の工芸的とも思える
木の彫刻形態とは違う。
変わらないのは、ある種のユーモア感溢れる形象だ。
そこにあるユーモア感・色気のようなものは、変わらない。
そう書いて、あっこの人はニヒルだが、強い色気の
ある人だなあと思う。
その色気が柔軟な形象・色彩として、シンプルに
溢れている。
大学時代に色彩のある彫刻をしていた、と聞いた。
しかし彫刻の先生から、木彫の指導を受け褒められ
それに伴って色彩は姿を消したと聞く。
指導通り実践する素直な人でもあり、同時にそれに
反発する反骨の人でもある。
その素直さと反骨性が、多分鬩ぎ合って色気として
顕れている気がする。
1980年代に見た木を彫刻し、繋ぎ、ユーモラス
な形象を創っていたあの諧謔性は、その時代の彼独特
の色気だったという気が今する。
今は形象も色彩も隠さず堂々と色気に挑戦している。
ただ色気と言っても、隠されたそれではなく、明快
な明るい色彩と形の強い主張なのだ。
きっと近い将来、もうひとつ作品が変わる事だろう。
ある秘められたニヒルな視角が、怒り・墳怒として
新たに彫刻・彫りの刃が顕れるかも知れない。
*菅沼緑展ー10月29日まで。
*ホピ&カチーナドール展ー10月31日ー11月5日
テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503