昨日で藤谷康晴展終わる。作家の感想。「濃い時間でした・・。」藤谷さんは昨日
終日余ったDMに絵を描いていた。総数約50枚。展示した作品とは違い抽象的な
線描画である。閉廊時間の午後7時までひたすら描きつづけていた。最後の1日
を惜しむように刻々と過ぎていく時間を埋めつづけていた。きっとこの作品は次な
る展開へと繋がって行くのだろう。7時近く教育大で映像を専攻している春日眞弓
さんが来る。藤谷展の記録をビデオで撮ってもらう為頼んでいたのだ。春日さん
は昨年一昨年と東京の映像作家石田尚志さん個展の折り彼の作品世界に深く
傾倒した人で彼女自身も優れた感性で映像作品を創っている。今回の藤谷さんの
作品会場を是非記録編集して欲しくお願いしたのだった。一階から始まり二階吹き
抜けと丹念に撮影してくれる。そうこうしている内に次の展示者村岸宏昭さんが
白樺の木を持って現われた。酒井博史さんの車で運んできた。追いかけるように
シンクガーデンの久野志乃さんが藤谷展を見る為現われる。そして美術家の清治
拓真さんも来た。彼は以前のテンポラリースペースの床をスキャナーで記録しいつ
かそれを作品として展示したいと思っているのだ。前のテンポラリースペースの床
は川の痕跡のように地下の地盤の歪みが顕在化して独特の表情を保つていた。
時間と共に顕われた地質の記憶である。そこは今青空駐車場となって床も喪われ
てしまった。原寸大のあの床がいつか立ち上がって展示されればあの場の記憶は
再生され其処を流れていた界川の記憶も再生されるだろう。志乃さんのお祝いの
ワインをあけみんなでささやかな藤谷さんのクローズイングと村岸さんのプレオー
プニングが始った。直径30センチ長さ1メートル程の白樺の幹を見ながら話が弾ん
だ。その幹は地上より3メートル位の高さの部分という。とすればもっと下の部分は
太いわけで前の店舗の25年の白樺とほぼ同じ大きさの木である。この木を通して
川の水音を聞かせるのが今回の展示の主要なモチーフである。今夜は徹夜でと
村岸さんが呟いた。ほぼ目の高さに白樺の木が吊り下げられ会場中央に位置す
る。そこに耳を当てると水の流れ川の音が聞こえる。そんな設定となるようだ。
さんさんと降り注ぐ光の中白樺の木肌がこれから10日あまりこの場で見詰めること
ができると想像するだけでもなにか幸せな気がした。村岸さんを残してみんなが帰
路につく時藤谷さんと村岸さんが笑いながら”じゃあ!バトンタッチ!”と言ってハイ
タッチを交わしていた。その時ふっと藤谷さんの描いた札幌の街と白樺がタッチし
て、それは私自身の生きてきた心のさっぽろのハイタッチのようにも思えた。
*村岸宏昭展「木は水を運んでいる」7月18日(火)-28日(金)
AM11時ーPM7時(月曜休廊)