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2017年 07月 14日

歯医者さんー泉=メム(20)

朝のフランスパンに始まり、歯応えあるものが
好きだ。
おかずを挟みガリガリ噛みしめる。
そして熱い紅茶をグビリ・・・。
一気に固いフランスパンが柔らかく溶ける。
そんなある日固い異物が口に残った。
被せた奥歯が外れたのだ。
いつもの歯医者さんに治療に行く。
円山時代徹底して予防治療を教示してくれた
敬愛する歯医者さんである。
網走出身で同じ網走の美術家佐々木恒雄さんの
月夜の漁師と舟の絵を今年購入してくれた。
その絵は今も治療台の前に展示されている。
そこで昨日は約2時間新しく被せる歯を調節し
嵌め込んだ。
何度も微調整し噛み合わせをスムースにする。
欠けた元の歯の亀裂に沿って幾度も幾度も調整
が繰り返される。
あくまで自歯を基本に補強する姿勢は、歯ブラシ
の磨き方、糸クロスの使用と予防を重視した
最初の治療姿勢と今も変わらない。
何度も歯の亀裂に合わせた調整作業、小走りに
治療台と研磨台を往復する先生を感じながら
ふっと谷口顕一郎さんの凹み彫刻を思い出して
いた。
路上や壁の亀裂をトレースし彫刻に仕上げる
彼の姿が、どこか歯医者さんの真摯な作業と
重なっていたのだ。
勿論目的は違う。
しかし亀裂を見詰めその形容をひたすらに
見詰め再生する姿勢は同様の真摯さが感じ
られるのだ。
芸術の事をファインアートと呼ぶ場合がある。
この時アートとは職人芸という意味で、それに
ファインがかぶさって、用のものではない美、
芸術という意味となるのだろう。
彫刻家と歯の医師は、アートの部分では同じ位
真摯に凹み・亀裂に対峙している。
何時かこの治療台に谷口さんも座したら良いな
あ~と勝手に思っていた。
オホーツクブルーの佐々木恒雄の絵画の前で
谷口顕一郎さんや中嶋幸治さんが目を瞑って
口中の海を漕ぐ歯医者の櫓の捌きを感じつつ
背を立てて見開いた目の前にオホーツク海の
青が広がる。
手仕事の真摯さを共有する不思議な治療経験
となる気がする。

*5人展「脈」-7月25日(火)ー30日(日)
 am12時ーpm8時

 テンポラリスペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2017-07-14 12:52 | Comments(0)


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