テンポラリー通信

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2017年 06月 24日

宿るものー泉=泉(14)

廃材と装置ー千葉栄、絵と着物ーcadbunny、
写真とひろいものー五十嵐阿実。
三人がそれぞれの目線で見捨てられた物、古びたもの
を再構成して、微笑み、時に笑いの弾ける暖かい空間
にしている。
千葉栄さんは廃材で祭壇のようなものを造り、ブルー
シートで覆い、その棚に小さな拾い物を置いている。
これらは持ち帰り自由となっている。
そしてその祭壇の上部に手製のネオンサインが飾られ、
前のスイッチを押すとloveが点灯し、hateと
いう文字と重なる。
愛憎一重というユーモラスな仕掛けだ。
その左側には萎んだポリ袋が項垂れていて、スイッチを
押すと、モコモコと立ち上がって笑いを誘う。
祭壇のような空間構成に本来の生真面目な性格が感じられ
、お化け人形に柔らかくユーモアのある批評精神が感じら
れる。

その右側会場正面には、古びボロボロに傷んだ黒と赤の
着物が着物掛けに掛けられ、もうひとつの着物は等身大
で佇んでいる。
その間正面に亀甲形の木製の額にふたつの着物を象徴する
ような絵画作品が浮かんでいる。
cadbunnyさんの着る物への愛着を感じさせる作品。
人が身に纏うという、人の体温と共に時代を生きてきた着物
の時空間を象徴させる作品だ。

2階回廊には写真と路傍のひろいもので構成された五十嵐
阿美さんの展示が拡がる。
時折路傍や岸辺で拾った小石や木片のような、何でもない
小物が人の手に触られ、石温や木温を伝え語りかける。
そんな会話の仲介を、撰び並べた眼の写真とともに語り部
となっているのが、五十嵐阿美さんだ。
今回の展示のリーダー的存在。
テンポラリースペースのある時代の日常、そして2階吹き
抜け化した非日常的空間を、熟知し心から楽しんでいるか
のようだ。
その五十嵐さんが、多くの訪れる人を2階に招き上げ楽し
ませている。
もうここではお馴染みの、”こわ~い”という嬌声は、やがて
”おちつく~・・”に変わり、子供は喜々として走り廻る。
秘密と冒険と発見のワンダーランドなのだ。

上と下で声の多重合奏が続いている。
古び、使いこなされ、どこか体温を残したものたち、
道端に吹き寄せらられ、そっと人の生活の際(キワ)に佇ん
でいたものたち。
それらの忘れられていた呼気・吸気が、日常の裾野から
息を取り戻している。
最新・最速・最短の先端万能時代に見捨てられ、取り残されて
いくものたち。
今、時代の低い長い裾野として、同時代の呼吸をしている。
そんな暖かい柔らかな視線こそが、この三人の<conー
ともに>のラデイカルな視座なのだろう。

*三人展「なんのためにあるのか」ー7月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 :7月1日(土)14時ー15時半「街歩きのワークショップ」
 この界隈で一緒に歩いてひろいもの・・。
 お茶・お土産付きー1500円。
*及川恒平×古館賢治ライブー7月中旬予定
*5人展ー7月25日ー30日:鼓代弥生・チQ・岡田綾子・藤川
 弘毅・酒井博史

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2017-06-24 14:38 | Comments(0)


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