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テンポラリー通信

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2017年 05月 14日

時間差ー暗渠(23)

北欧のある都市でギャラリーや美術館の開館・閉館
時間が季節によって相違する話を聞いた。
現在展示中の吉増剛造展でもそれを適用すれば良か
ったなあと思う。
映像設定の鈴木余位さんも冬しかここに来ていない
ので、この時期一番日が長い事を計算していなかっ
たと思う。
北壁大画面が迫力を増すのは、やはり夕方以降の
時間帯である。
明るい時と暗くなる時の案配が、もう少し狭まって
も良いのだ。
開廊時間を午後2時、閉廊時間を9時でも良い気が
している。
北壁大画面の中央に設置された小モニター画面に
石狩来札浜の砂粒を顕微鏡レンズで水に揺れる様子
を早回しで撮影した画像は、中央の土の山頂点にも
同時に投影されているが、この心臓の鼓動のような
画面が明るい陽光の下では不分明なのである。
昼の光の存在感も良いのだが、同時に映像の際立つ
時間も見れた方がより展示の意図が伝わるからだ。
常時真っ暗で映像主体と偏るのでもなく、自然光の
土作品の存在感に偏るでもなく、両方を時間差で感
じて頂くには、開閉の時間を変えれば良かったと思
うのだ。

内容によって料(りょう)を量る。
一律にしてはいけない理(ことわり)がある。
料理だなあ、
勿論、量・利ではない理(ことわり)だ。
今日のように曇天・風雨の様な日には、昨日までの
五月晴れの日と違って自然の暗さが助けてくれる。
光と音が空間を創り変化してゆく。
そのそれぞれに宿る時間の推移に、映像・立体・声・
描画の時間が決して一律でない時空体に息付いている。
「火ノ刺繍乃ル=道」ー吉増剛造・鈴木余位・村上仁美。

心地よく飽きない時空間だ。

*吉増剛造展「火ノ刺繍乃ル=道」展ー5月28日まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2017-05-14 13:33 | Comments(0)


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