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テンポラリー通信

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2017年 04月 27日

花田和治さん・・・・ー暗渠(14)

画家の花田和治さんが亡くなったという。
飄々として鋭く時に過激で、邪気のない人だった。
今の場所に移転する前自宅に臥せている佐佐木方齋宅
に私を案内してくれたのが花田さんだった。
当時世間に見離されていた方齋を変わらぬ友情で付き
合っていたのは花田さんだけだったかと思う。
私は初めて方齋宅を訪れ、寝たままの方齋を見舞った。
そして部屋に乱雑に置かれた彼の編集した「美術ノート」
全巻を改めて見て、’80年代疾駆した彼の業績を思った。
美術家として、同時に企画者として現代作家展の主宰、
さらに批評誌としての美術ノート単独編集発行。
’90年代以降病床に臥せ一切の活動を停止していた彼を
このままにしてはいけない。
そう思い初期代表作「格子群」を皮切りに、未発表の作品
の数々を次々毎年展示し、その後新作を発表するまで彼は
回復したのだった。
この方齋の復活には花田さんの変わらぬ方齋への友情の
存在が大きくあったと思う。
花田和治さんは、そういう温かで熱い心の人だった。
日本海沿岸の大きな漁師番家の血を引く生まれで、東京
芸大を出て画業一筋。
その画風はシンプルな線描と大きな構図で、やはり海・空
を思わせる豊かで深い構図が特色だった。
テンポラリースペース2004年の個展と、道立近代美術
館での秀作個展が忘れられない。
陸と海、空と山稜、人の心と心。
そうした界(さかい)の世界を、実にシンプルな描線で深
く印象付ける剛直でかつ柔軟な心の作家であったと今思う。
今少し、もっと花田番家の話や海の事など彼から多く聞き
たかった、としみじみ思うのだ。

*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月9日ー28日
*及川恒平×山田航ライブ「傘」ー5月13日午後5時~
 予約2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2017-04-27 12:12 | Comments(0)


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