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テンポラリー通信

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2017年 04月 21日

ざっくりと粋で、ふんわりと品良くー暗渠(11)

八木保次・伸子さんを思い出しながら、ふたりの人柄・絵画
を重ねて、訪ねてる人の感想・想い出話を聞いていた。
保次さんのざっくり粋な人柄、伸子さんのふんわり品良い人柄。
それはふたりの絵画にも反映していて、訪ねてくれた人たち
の話にも映し出されていた、
冥土から訪ねてきた薩川先生、まっちゃんにもそれを今感じ
ている。
<ざっくり>は、化学教師の側面に、<粋>は現代詩の言葉
の切り口に。
伸子さんには今回初見の「札幌大通り公園ーリラの咲く頃」
の原風景世界に、淡く品良い人柄を改めて感じていた。
僅か数百mの札幌の生い立ちの違いに、札幌モダニズムの
豊かな土壌を思うのだ。
保次さんのご母堂敏さんの優れた俳人・華道人としての面影
も、<ざっくり、粋>で美しい女性だった。
薩川益明先生は青年時このお母様に俳句を学んでいたという。
一方伸子さんのご母堂は、松本春子という書道の大家で、かな
文字書道で一世を風靡した方である。
そうした札幌のふたつの文化土壌の内からふたりのモダニズム
は生まれている。
保次さんのススキノ・中島公園界隈の土壌に、三岸好太郎・
郡司正勝・薩川益明等の芸術・文化人の系譜があり、伸子
さんの大通り・時計台・豊平館ゾーンに松本春子・伸子母娘
の芸術家の系譜があるような気がする。
百年に満たない明治・大正の札幌という都市空間には、かって
そうした今だ解明されていないモダニズム風土の歴史が睡って
いるに違いない。
江戸が東京と名を変え、江戸城が皇居と変わって西洋化という
近代の中心に東京が変貌した時代、その時札幌はより純粋培養
的に西洋化という都市モダニズムを蝦夷地の中心に構築された
経緯があるように思う。
江戸抜きの純粋モダーン東京化である。
その精神土壌が八木さん夫婦のような明治蝦夷地二世の世代に
花開いてあったように思える。
都市を支える精神風土、粋・ざっくり・上品・淡さの心意気が
三世以降の我々にはもう喪われつつあって、只のリットル東京
化の風俗化でしかないようだ。
八木家、松本家・薩川家の書道・華道・乳業の新旧生業の上に
それぞれの子のモダニズムが裏打ちされている。
現代はその土台が空洞化して人口という都市化の増幅のみが
拡大化して今が在る。
東京も江戸という土台土壌風化の上に、メガロポリス東京圏
がある。

八木保次・伸子展を透して、あらためて札幌という都市の革新
性そのモダニズムの行く末に思いを巡らしている。

*「彩」八木保次・伸子展ー4月23日(日)まで。
 am11時ーpm7時:金曜日午後3時閉廊。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー5月9日ー28日

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2017-04-21 14:59 | Comments(0)


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