裏付け、裏打ちという言葉がある。
真実、本物、という意味で使う。
千葉県から北海道洞爺月浦に移住して約15年。
ガラス作家高臣大介の今を想う。
「冬光」の円盤状のガラス作品と「野傍の泉池」の
ガラス房が照明の光影を映して触れて響く音と共に
壁に浮かんだ今回の展示。
その試みが彼の今の生の証しだった気がしている。
祖母・父母・結婚と親子三代、今月浦に住まい、
作品もまた、志と成熟を保ち始めたからだ。
透明な円盤状のガラス板。
水滴のようなガラス棒の房。
「冬光」「野傍の泉池」と名付けられたふたつの
作品が光を透過し壁に映し出しす光影。
普段見えない表面上の起伏の影をも意識化した
今回の「奏であう」展は、正に生きる場の裏打ち
という言葉の顕れだった気がするのだ。
厳冬の寒気廊。
アラジンの大型ストーブ。
上昇する暖気風。
揺れる冬・光、泉・水。・・・響き。
透明な影という、淵・澱み・波紋。
洞爺・月浦。
ガラス制作を通して、真にこの地に根付きだした作品
と私は感じる。
最終日当夜・月の裏も輝いていたから。
*中嶋幸治展ー「分母第二号販売展:特集メタ佐藤ーその包み直される
風景と呼び水」ー3月4日(土)5日(日)。
am11時ーpm7時。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー4月4日ー23日。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503