テンポラリー通信

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2017年 01月 27日

四つの掌(たなごころ)ー広い河口(15)

十数年ぶりに岡部昌生、中川潤両氏と、円山北町の居酒屋
で会う。
円山北町時代なにかと集った場所だ。
現在地近くに在った居酒屋ゆかりが昨年12月で10年の
営業を終えた所為もあり、急遽以前よく行った居酒屋にな
ったようだ。
中川さん経由で岡部氏からの誘いである。
私としては、10年前のこの地での闘いの記憶もあり、旧い
場所へはあまり近づきたくなかったが、このふたり揃っての
珍しい誘いともなれば断るわけにいかないと観念した。
居酒屋楽屋は内部の様子も昔と変わらず、オーナー夫婦も
懐かしい姿のままだった。
メニューも以前より充実し品数も増えていた。
遅れて到着した岡部氏は周辺の街の変化に道に迷ったと言う。
登山家の中川氏、美術家の岡部氏、そして私とそれぞれが生ま
れも生き方も異なる3人だが、テンポラリースペース立ち上げ
の時以来多くの企画展示にチームを組んできた仲間だ。
ある時期以来個々の付き合いはあっても3人揃って会う事は
無くなっていた。
しかし久し振りに3人揃えば、もう自然と心が通じ時が消える。
岡部氏の愛知トリエンナーレでの鯉江良二さんとの再会の話に
始まり、彼の新たな札幌での制作プランの相談へと話は進む。
その話の中で中ノ川という札幌西北部の川の名前が出て驚く。
というのは、先に来た中川氏が少し興奮しながら見せてくれた
ある本には、高知県の川で遭難死した大学生の様子が書かれて
いたからだ。
この発見時の記述はどうみても村岸宏昭の遭難発見日の事だよ、
と興奮気味に中川さんは言う。
そしてその村岸が高知の鏡川で遭難死する2週間前テンポラリー
スペースで最後となる初個展を終え、展示に使用した白樺の幹を
自然に戻すかのように半分に切り埋葬したと聞いていたのが、中
ノ川源流だったのだ。
十数年3人一緒に会う事もなかったふたりから、期せずして村岸の
死とその作品の最後に関わるふたつの場所が顕れたのに私は吃驚した。
少し疎遠だった3人を冥界のムラギシが引き合わせてくれたような
気がした。

闘病以来久し振りに飲んだお酒は、勿論深く五臓六腑に沁み入った。
3人の、否4人の、心の掌(たなごころ)のような夜だった。

*高臣大介ガラス展「奏であう」ー2月日程近日決定。
*中嶋幸治作品展ー2月予定。
*吉増剛造展「火ノ刺繍乃道(ルー)」ー3月末4月予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
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by kakiten | 2017-01-27 13:48 | Comments(0)


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