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テンポラリー通信

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2016年 12月 27日

逝く人・来る人ー茨(イバラ)・戸(ト)(28)

赤子を抱いて無事帰省した森本めぐみさんが来る。
一部展示作品の搬入、そして明日定休日に大きな物
も運び込みたいと言うので合い鍵を渡す。
もう6ヵ月だろうか、前回見た時より首が据わり
じっとこっちを見る。
吉増剛造さんの最新GOZOCINEを見せた。
リストの曲に合わせ絵筆を草稿に叩きつけている。
そしてタンタンタンと口ずさむ。
喜ぶ赤ちゃん、そしておしっこ・・・。
オムツを拡げ手早く交換。
その時画面では上から青い絵の具を草稿に注いで
いるシーン。
まるでオムツみたい・・・。
森本さんが喜んで唱和する。
タンタンタン・・・。
そして言った。
まるでヨシマスさん、3歳の男の子みたい・・・。

画面に映っていた作品は、映像と共に送られて来た。
まるでチルド状態のように、絵の具が濡れて畳まれて
いる。
最初見た時は、その生々しさに腰が引けて、開く気が
失せる。
しかし今回は、森本さんと赤ちゃんのおかげか無心で
開く事が自然だった。
ヨシマスゴーゾー、ゼロ歳と唱和す・・・。
ネオ怪物君の誕生の産声・おしめの目撃のようだった。

森本さんが帰った後、小樽の橋本洋輔氏から電話が入る。
打楽奏者太田ヒロさんが今日午後3時に死去したという。
ガラス作家の高臣大介さんにも連絡して欲しい・・・。
すぐに高臣大介に連絡する。
太田ヒロさんは、ここでの高臣大介展と縁が深い。
11年前円山北町閉店時最後の展示。
その時の高臣大介展で太田ヒロの入神の演奏を聞いた
想い出がある。
そして今の場所で再開されたテンポラリースペースの
最初の展示高臣大介展でも、太田ヒロさんが演奏した。
ここの場の節目、高臣大介の展示の節目と太田ヒロの
演奏は何故か重なるのだ。
若い時スピード狂でバイクで崖から転落し足を痛めた。
それから打楽器奏者として足を使えず、ドラムを捨て、
自ら叩きたいと思う素材を見つけ地中などに埋め保管。
そして演奏時に持ち出し、それを叩き独自の演奏世界を
創造した。
私が印象に残っている楽器は、札沼線の廃線鉄路を楽器
にした演奏だった。
これら彼独自の音への美学で選ばれた楽器たちを展示し
毎夜演奏する展覧会も、かって試みた。
しかしそれ以上に、吹きガラス作家高臣大介と打楽奏者
太田ヒロとの交友の深さが心に遺る。
吹く力の創造と叩く力の創造が、ともに共通の透明な形象
を象眼して響き合っていた気がする。

誕生・逝去・・・。
逝く人、来る人・・・。
年の瀬の風景だ・・・。

*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日:2日休廊。
 am11時ーpm5時。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


by kakiten | 2016-12-27 13:58 | Comments(0)


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