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テンポラリー通信

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2016年 12月 09日

再生と祈りー茨(イバラ)・戸(ト)(18)

磁場が深く澄んでくる。
すると星たちが光を放ち出す。

 大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、と
 ステップのよう。

  その時そんなこととはつゆ知らず、大野ヴィデオ
 を見た興奮をひきずったまま「燃え上がる銅板小屋」
 (2010年吉増展「石狩河口/坐ル ふたたび」)
 で、封印していた8ミリフイルムカメラを踊り廻した。
 わたしも知らずに、ふっ、と息を吐いていたのだ。

     (鈴木余位「怪物君、テンポラリー君」より)

鈴木余位さんが、多摩美卒業制作後封印していた8ミリ
撮影復活の記述である。
2011年3・11の4ヵ月前、吉増剛造は予感のように、
「石狩河口/坐ル ふたたび」展を開いた。
それまでの打刻された銅板全てを持ち込み、河田雅文の
見事な展示協力で、吹き抜け、窓際すべてに打ち抜かれ
た銅板が展示された。
昼は外から入る陽光が、銅板の撃ち抜かれた裂け目を通り
美しい光を煌めかせていた。
夜は照明の光が、打刻された文字の影を漏らしていた。
「燃え上がる銅板小屋」とは8ミリフイルムで鈴木余位さん
がこの時撮影した映像作品のタイトルでもあるのだ。

 場よりも、あるいは、時、発生ではなく、あくまで再生
 として、大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、とステップのよう。

この繰り返される<ふたたび、ふたたび、>こそが、星の
再生と感受する。
事実余位さんは8ミリフイルム撮影をこの時復活させたのだ。

磁場が深まり星達が輝き出す。
そして星座のように小さな宇宙が生まれる。
3・11の前年12月、予兆のように吉増剛造展「石狩河口/
坐ル ふたたび」(2010年12月1日~31日)が始まる。
「ノート君」(2012年12月11日~1月13日)「怪物君」
(2013年12月14日~1月5日)の前夜である。

 ・・時、発生ではなく、あくまで再生として。
 大野さんの舞踏のよう。
 ふたたび、ふたたび、とステップのよう。

余位さんの文章は驚くほど吉増さんの<ふたたび<>と共振しな
がら、自らの再生も語り繋いでいる。
一つ一つの星の運命が大きな災厄・不幸をも予感し再生への祈りを
予感させるのだ。
石狩河口からの引用・・・。

 車体のほとんどを雪に埋めた廃バスに割れた窓から転がり込み、
 なぜかそこにあったのかわからない木槌を握ってじっと耐えた。
 しばらくすると吹雪も止み、木槌で雪を叩いたりして、わたしは
 やっと石狩河口に坐った。そこで8ミリを廻した。撮影する姿勢は
 祈りのそれに似ている。あまりにも無防備でそれ故に堅牢でそれ故
 に限りなく孤独だ。

この<祈り・無防備・堅牢・孤独>こそが、星の姿そのもののように
私には思える。
吉増剛造の「怪物君」の仕事と共に・・・。

*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日ー1月3日:2日(月)定休

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-12-09 15:03 | Comments(0)


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