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テンポラリー通信

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2016年 12月 03日

おでん・話ー茨(イバラ)・戸(ト)(13)

寒いのでコンビニでおでんを買った。
グツグツ湯気を上げる暖かそうなおでんを見ながら、
コンニャクに玉子に竹輪と注文する。
するとレジから眼を離さず注文を聞いていた年配の
店員さん、コンニャク、玉子2個ですね・・と言う。
えっ、<に>が<2>に聞こえたのかと、いや違うよ、
<に>は<と>で<and>だよ、と言うと。<10>
ですか、と言う。
<と>が今度は<10>になってしまった。
経営者の奥さんだろうか初老の婦人である。
結局持ち持ち帰り食べると竹輪が一個多く入っていた。
具材も多く値段もそれぞれ違う。
その注文を聴き、取り出し、レジに打ち込む手間が、他の
客が直接持ち込む商品とは違うから大変とは思う。
でもその後おでんは店員さんを選んで買う事にした。

物を通して会話が深まり、人と人の心が通う。
そんなサロンのような店が減った。
物は物流の金銭交換でしかない。
レジだけを見ていたのは、今時正直なのだ。
ある物を気に入る、必要とする。
そこに人の生活のデイテールがある。
細部に神宿るの例え通り、細部から人は世界と繋がり
世界を創る。
父・祖父の昭和の時代まで、まだそうした町の名残りが残っ
ていた。
物は作り手という人間がいて、それを媒介する店という舞台
があり、客という使い手が物を選んだ。
そこに物を通した回路が生まれ世界を開いた。
人間を基本とする回路が物にはあったのだ。
八百屋から魚屋、肉屋、判子屋から文房具屋。
あらゆる生活全般にその回路が生きていた。
床屋談義という店先でのサロン風景が各業種にもあったのだ。

町が市街地となり、直線主体の風景が生まれる。
物流回路が主役となり、物の流れが直流回路を生む。
都市化が進めば進む程直流直線が風景の輪郭軸に成る。
建物も道路も人の行動パターンも時間も直流・直線化する。
タワービルに新幹線、地下鉄に高速エレべーター、先の尖
った靴に黒いストッキングの飛脚のようなファッション
が街を席巻する。
レジだけを見て、<に>が<2>、<と>が<10>の
数字に聞こえるのは、売り上げという利益直結の直線思考
の結果なのだ。

裏通り、中通り、横道、小道。
蛇行する緩い曲線を喪失して、ショートカットの直線構造が
文化の<耕地>を滅ぼしていく。
おでんの湯気はゆらゆら匂い見えるけど、食べられないと湯気を
否定するな。
湯気と匂いも含めておでんなのだ。


*川俣正TETRAーHOUSE326展ー12月26日まで。
*森本めぐみ展「百年の予定」ー12月30日-1月3日まで。
 am11時ーpm5時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
飛脚のような

by kakiten | 2016-12-03 15:01 | Comments(0)


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