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テンポラリー通信

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2016年 09月 28日

踵の時間ー撓む指(34)

今展示中の「それぞれの山田航<水に沈む羊>」展も
終盤に入った。
今回展示した作品には、作家それぞれの生活・日常
の踵(かかと)のようなものを、私は感じている。
踵の時間とは生活の芯が据えられ、そこから世界を見、
メッセージを発している事だ。
この生活軸を抜きに、一首を撰び作品を創ってはいな
いと思える。
当然といえば当然とも思えるが、それだけ個々が
生活現実と向き合い、自らの精神を作品に籠め、
日常闘っている傷痕でもある。
従って個々の作品に生活の現場が立ち上がり、魂が
対峙し固有の踵の時間となって心に染み入る。
「水に沈む羊」の山田航の一首は、その回路・媒介
として開いている。
一首の解釈に終わらない、それぞれの開かれた世界
が作品に包含されているからである。
個々の作家と作品について語りたい衝動が、湧き出る
ように胸に溜まってくる時もある。
しかしそれは私自身の保つスタンスである。
作者の生活に入り込み語るのは、作品自体の存在に
私小説的な感情移入を招くだろう。
作品自体と山田航の選ばれた一首が、互いに影となり
光となって新たな風景を産んでくれればそれで良いのだ。
目でひとつの作品を見、選んだ一首を読み、ふたつの
共有する意味を考え、再度作品を見る。
そう言う意味では、二度三度味わい深めるターンを有する
濃度の高い展覧会だ。

成清祐太君が公開制作と称して、上映中の動画映像に
新たな作画作りを週末にかけ会場で開始する。
彼の中で何かが弾けているようだ。
他の作家作品に刺激されての所為かも知れない。
作品が作品を呼び、さらに作品を招き出す。
見る方もそれと同じように、自らの踵の時間を見詰め
振り返る。
そんな浮き足立ち、爪先立つ現代の時間と対峙する
踵の時間を思いだして欲しいと願う。

*それぞれの山田航「水に沈む羊」展ー10月2日(日)まで。
 am11時ーpm7時:月曜定休。
 :参加作家 野上裕之(彫刻ー尾道・船大工)・佐々木恒雄(絵画ー網走
  漁師)・野崎翼(折り紙ー札幌・浪人生)・成清祐太(映像ー札幌移住2年)
  森美千代(書ー札幌・専業主婦)・酒井博史(篆刻ー札幌・活字職人)
  竹本英樹(写真ー札幌・フリーTVデレクター)森本めぐみ(美術ー鯖江市
  ・育児3ヵ月)久野志乃(絵画ー札幌・出産2ヵ月)
 :ライブ 及川恒平×山田航「橋」ー9月25日終了。
*橘内光則展「土曜の夜の夢」ー10月9日ー30日
*ホピ&カチーナドール展ー11月1日ー6日
*竹本英樹展ー11月予定
*森本めぐみ展ー12~1月中予定。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-09-28 13:24 | Comments(0)


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