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テンポラリー通信

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2016年 09月 19日

次第に整う展示ー撓む指(27)

今回一番遠方の尾道・野上裕之さんの作品が届く。
船大工に従事しながら、彫刻への志を保っている作家。
今回は40cm程の黒いカラスの彫刻だ。
選んだ一首は

 世界に告ぐ空を見ながらたそがれてあくびをするな顎を外すぞ

彼には珍しく、社会性を保ったテーマであり、作品だ。
巨大な真っ黒なカラスの嘴は、缶コーヒーのアルミ箔が巻き付き
貼ってある。
<たそがれてあくびをするな顎を外すぞ>の意が籠められている
のだろう。
大量生産・大量消費・大量破棄の緩い現代社会の消費構造に対峙
する視座がここに読み取れる。
黒いカラスの造形も<たそがれてあくび>の強い悪意の象徴と思える。
生活の何気ない現実が、この一首を撰び造形した事である広がりを保
って私には突き刺さってくる。
山田さんのどちらかというと直截な叫びが、野上さんのカラスの
造形である広がりを保って、同時代の毒とそれを見据える視線と
して語りかけるのだ。

今回の展示作品にはそうした同時代に日常生活の先端で震え響く
位相で創られた作品がトニカで共通している。
何気ない日常の他の人には、何んて言うことのない事が時に
当人には大きなとても気の抜けない非常時としても存在するのだ。
そうした日常の小波が人生である。
缶コーヒーひとつにも深い意味がある。
そうした生の現場の呟き・溜息・眼差しが一つ一つの作品の
一首を選んだ共感の磁場に鳴り響いている。

今日あと3点の作品が届き、展示は完了。

*それぞれの山田航「水に沈む羊」展ー9月20日(火)ー10月2日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-09-19 15:05 | Comments(0)


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