福井・鯖江から届いた森本めぐみさんの作品を展示する。
5点組の楕円形の木板に描かれた絵画。
選んだ一首は
運転手フロムフイリピン未明から未明へとすべりゆくタクシー
この一首から膨らんだストーリーが、5点絵画の展開となっている。
選んだ一首が回路となり、作家の内面の小波が映し出され呼応し、
タクシーは怪奇な船となり航海している。
今日森美千代さんが来て大きな縦長の書を展示する。
選んだ一首は
水に沈む羊のあをきまなざしよ散るな まだ、まだ水面じゃない
流麗な筆の墨跡、書の批評は出来ないが、
・・・あをきまなざしよ散るな
という言葉に鋭く反応し画いた、墨線の強靱な流れを感じる。
この感覚は今回参加しているすべての人の基本線だろうと思う。
北方の国境ある海の労働、後継者不足の船大工の仕事、初の浪人受験生
妊娠から出産の子育て、志を持ち移住しアルバイトの日々・・・。
そんな日常の中で、一首撰び取り表現する。
歌そのものを超えて、今を生きる精神(こころ)が万華鏡のように
揺らめくのだ。
選んだ一首を回路にそれぞれの生の根がそこに投光され、作品として反射し
揺らいでいる。
やがて会場全体が「水に沈む羊」の万華鏡のようになり、さざ波の命が煌めく。
そしてそれぞれのtemporaryという日常に、con・根という
同時代の火が燃える。
燃やさねばならぬ・・・。
そう感じされる展示中だ。
*それぞれの山田航「水に沈む羊」点ー9月20日(火)ー10月2日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休。
:参加作家 森本めぐみ(美術)・野上裕之(彫刻)・佐々木恒雄(絵画)
野崎翼(折り紙)・成清祐太(映像)・森美千代(書)・酒井博史(篆刻)
・久野志乃(絵画)他
:ライブ 及川恒平×山田航「橋」ー9月25日(日)午後5時~予約2500円
*橘内光則「土曜の夜の夢」展ー10月9日ー30日
*ホピ&カチーナドール展ー11月1日ー6日
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503