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テンポラリー通信

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2006年 06月 22日

道を歩くー界(さかい)を生きる(1)

尾道から野上裕之さんが一時帰札している。私と酒井博史さんが会ったのも
昨年秋の椅子の彫刻を展示していた野上さんの個展がきっかけだった。その
会場に酒井さんが訪ねてきたのだ。野上さんは二年前のテンポラリースペース
でもいい個展をした。それは作家としてひとつの転機になったと思う。今年1月
ちようど引越しの頃モエレ沼公園の野外アートに参加していてそこにテンポラリ
ースペースの軒下の大きなツララを展示に使うといつて運んでいった。つららは
今は駐車場となっているのでもう2度と見る事が出来ない。その25年目のツララ
を自分の作品に使おうと思ってくれた彼の気持ちが私には嬉しかった。その後
尾道の民家プロジェクトに参加し札幌を離れていたが9月メキシコのアートプロ
ジェクトに参加する為パスポートの申請に札幌に一時帰ってきたのだ。酒井さ
んの落款ライブでも自分で石に「裕」の字を彫り込んでなかなかの出来映えだ
った。その折まだ未完の二階資料室の棚を造ってもらう約束をして今日から
作業に入る予定だ。賀村順治さんの家にお預けしたままの資料、本はこの棚の
整備が出来ないとまだ運べない。賀村氏には申し訳ないままなのだ。その賀村
さんから朝電話があった。車から朝歩いているのを見たという。北大農場に入る
前の車道を歩いていた時らしい。最近は円山から桑園を経て北大の第一農場
を横切ってここまで通っているがその途中の風景の変化が面白い。まず風が
違う。ビルの街角の道は風も鋭角的で樹や野原が多いと風も穏やかになる。円
山、桑園地区は鋭角的な風が多くなってきた。ただ木造の家や庭の樹のある一
角はふっと空気が変わる。北大の農場に入ると西の山並みはパノラマの状態で
手稲連峰から藻岩山までが一望できる。土の道が続き雲雀が鳴いている別世界
となる。市街地から田園地帯へとその劇的な転換が経験できるこのコースは最
近気に入っている道である。また桑園駅近くから入る北大交流センターの森は
本来の森の面影を残していて木々の香りが違う。ふっと山の中の空気が漂う。
そこから石山通りの車の道を渡り農場の中へと入ると土の香り堆肥の香りに
包まれる。このさっぽろの経てきた自然と社会環境を垂直に体験するような道
は歩く事でさっぽろの位置する界(さかい)を辿る事でもあるようだ。
  

by kakiten | 2006-06-22 12:05 | Comments(0)


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