2006年7月18日から28日まで、村岸宏昭個展
「木は水を運んでいる」で自ら作曲・演奏・制作・販売
していたのが、「銭函→星置」と題された曲だった。
この遺されたCDを今会場に流している。
海の波音に始まり、個展時展示した白樺の木のあった
円山川源流の川音で終わるこの曲は、唯一遺された油彩
の「膝を抱えうずくまる」とともに、会場内でムラギシ
を告げる存在だ。
絵画「膝を抱えうずくまる」が、時代・社会の視座にいる
ムラギシなら、音楽「銭函→星置」は自然・風土の中にいる
ムラギシだろう。
彼の22年の生涯において今も我々を囲繞するふたつの環境を
鋭く提示し作品として遺した事は、我々の現在を今も深く
通底して共感する所以なのだ。
遺作集「自分を代表するような仕事はまだありません」に
収録された2枚のCDの中には、時代・社会を感じさせる
曲も多々ある。
「札幌発千歳行き」などは、電車内アナウンスやエンジン音
乗客の会話などが入っている。
しかし絵画「膝を抱えてうずくまる」が一番本質的な、時代・
社会の中のムラギシの位置を顕していると思う。
そして海から川の源流へのフイールドレコーデングと即興演奏
を含めた「銭函→星置」は、自然・風土を強く印象づけるものだ。
絵画・音楽を通し、今を全身で生きようとしたムラギシの表現の
エレメントを伝えるには、このふたつが最適だろうと思う。
*「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展ー8月14日(日)まで。
am11時ーpm7時。
:8月14日午後5時~ライブ^有山睦(ドラム)古館賢治(ギター)
多賀白(ヴァイオリン)・酒井博史(歌)・山田航(長歌朗読)外
入場料1000円。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-737-5503