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テンポラリー通信

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2016年 08月 02日

10年ー撓む指(1)

今年8月で村岸宏昭が四国高知の鏡川で死んで10年となる。
22年の短い生涯。
その遺された記憶は一冊の本となり、今も生前未知の読者を
増やしつつある。
そこで没後10年を経て、改めて既知・未知を問わずそれぞれ
のムラギシを問う展示を考えた。
切っ掛けはムラギシが遺した高校3年に描いた一枚の絵である。
死の1年後追悼展で親友のHが持参したこの絵は、そのまま私
の処で保管されていた。
偶然他の所蔵作品と一緒に倉庫から出し並べた時、あっという
驚きが生まれた。
偶々横に置いた80余歳で亡くなられた八木保次・伸子さんの
両作品に負けぬ存在感でその絵が私の目に飛び込んできたからだ。
それまで作家の記憶に属し存在していた絵が、全く絵そのものと
して存在感を保っていた。
八木保次・伸子さんの北の風土・自然を見据える色彩。
そしてムラギシの足元を見詰める不安で純粋な時代・社会への目。
このふたつの視線は、我々を取り巻く自然・風土そして時代・社会を
今も見詰める同時代の眼なのだ。
だからこの絵画は作者の年齢を超えて、並び響き合っている。

やはり10年という見えない歳月の力もあるのだろう。
生前一度も会った事のない人、そして10年を経て感じる今を
それぞれの立場で表現して欲しい、そう思い声を掛けた。
私は八木保次さんのフキノトウの緑を思わせる抽象絵画と伸子
さんの福寿草の黄を思わせる具象画を左右に配し、中央に村岸
作品を置いてみょうと思う。
今週末まで届く、他の人たちの作品も楽しみだ。

*「撓む指は羽根ームラギシ10年」展ー8月9日ー14日。
 am11時ーpm7時:水・金ー午後3時閉廊。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2016-08-02 17:03 | Comments(0)


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